2010年9月30日(木)「しんぶん赤旗」

概算要求政策コンテスト

国民の声聞く気あるなら

菅内閣


 菅内閣は、2011年度の予算編成で1兆円超の「特別枠」を設け、その中身を「政策コンテスト」で決めるとしています。28日からは、マニフェストに反映するための国民の意見をインターネットやファクスなどで募るパブリックコメントが始まりました。

 政府は概算要求に当たって各省に10年度当初予算比で1割削減を求めたうえで、「元気な日本復活特別枠」として、別途、要望を出させました。各省から出された特別枠の要望額は合計で約3兆円。これを、年末の予算編成で1兆円超まで絞り込みます。

 10月中を目途に「評価会議」を設け、そこで絞り込みをするとして、現在、立ち上げの作業中です。会議のつけた優先順位を基に最終的には菅直人首相が決めるとしています。

 パブリックコメントは10月19日が締め切り。10月下旬を目途に結果を公表し、評価会議での参考にするといいますが、実際に、どう生かされるのかは定かではありません。評価会議のメンバーが国民の声を適切に反映できる構成になるのかも問題です。

 各省が特別枠として出した要望には、国民の切実な要求にかかわるものが少なくありません。文科省は、少人数学級導入の予算、高校生対象の返済不要の奨学金などが全額特別枠での要求です。

 毎年1%ずつ削減され、「これ以上削られたら教育、研究が成り立たない」と悲鳴が上がっている国立大学の運営費交付金は、もし特別枠分が認められなければ前年度比5%減ととんでもない事態になります。

 中小企業の時給引き上げのための補助金、卒業後3年以内の人を雇用した企業を補助する「就職実現プロジェクト」など、「雇用」を強調する菅内閣の目玉も特別枠での要求です。

 結局、切実な要求同士で競い合うことになり、3分の2近くは実現しないことになります。国民要求にしっかり向き合い実現を図る気なら、特別枠ではなく概算要求本体に入れるべきものです。

 一方で、「元気な日本復活」にふさわしいとはいえない米軍への「思いやり予算」1859億円全額やミサイル防衛関連経費、燃料費など4755億円が特別枠で要望されています。特別枠で要求しても、政策コンテストで落とされることはないと見越した防衛省の作戦です。概算要求本体を見かけだけ削減するやり方です。

 国民の目線を生かすというなら、こうした予算にメスを入れることができるのか問われます。





■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp