2010年9月28日(火)「しんぶん赤旗」
あたご 回避動作せず
イージス艦公判 漁船側が証言
横浜地裁
千葉県房総半島沖で漁船「清徳丸」に衝突、沈没させ親子の漁師を死亡させた海上自衛隊のイージス艦「あたご」事件の第4回公判が27日、横浜地方裁判所(秋山敬裁判長)で開かれ、清徳丸とともに同一海域で操業していた漁船関係者が証言しました。
証言したのは幸運丸、長一丸の船長ら。この日の尋問もあたご、清徳丸と僚船の航跡の位置関係などにしぼられました。
幸運丸の船長、堀川宣明さんは検察の主尋問に、息子と操縦を交代してから5分ほどして「あたご」の白灯2個を見つけ、同船に近づくにつれて舷灯の青いあかりを確認、「あたごの艦首を楽に回れると思ったが、あたごの速度が思った以上に速く自動操舵(そうだ)を手動に変えて右に舵(かじ)をきり、あたごの前方を回避した」と証言しました。
被告(あたご側)代理人の「あたごを回避するとき、(幸運丸の西方にいた)清徳丸が上がってきたことはないか」との反対尋問に、同船長は「それはない。そばにいれば気がつく」と反論しました。
長一丸の渡辺秀人船長も「あたごなどの大型船は回避しないので自分で舵を切り回避した」と述べ、あたごが回避動作をとっていなかったことを証言しました。
被告代理人は反対尋問で「長時間の航海、そのうえでの漁労作業で疲労し、居眠りすることもあるのではないか」などと、清徳丸が居眠り操縦をしたかのような質問をくりかえしました。漁船関係者は「命がかかっている。ガムをかんだり喫煙などで避ける」と反論しました。
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