2010年9月28日(火)「しんぶん赤旗」
ビキニ水爆 「死の灰」世界規模
市民団体解析 日・米・アフリカ覆う
|
米国が1954年に南太平洋のビキニ環礁で行った水爆実験(キャッスル作戦)による「死の灰」がアメリカ本土にも到達、放射能汚染が世界規模に広がっていたことが、米公文書によって明らかになりました。高知県太平洋核実験被災支援センターが解析をすすめていたもので、27日、同センターの山下正寿氏らが高知市で記者会見して発表しました。
米国の公文書は、米気象局を中心に55年5月にまとめられた報告書で、84年に公開されたときは、降灰地図や米国への降灰記録などの部分が欠落。今年3月、米エネルギー省のホームページで同報告書の全文を見つけ、広島市立大広島平和研究所などで分析をしていました。
報告書によると、粘着性フィルムを世界中122カ所に設置してデータを収集。キャッスル作戦の6回の水爆実験後100日間観測、その数値を地図上に「放射能減衰曲線」にして示しています。
キャッスル作戦の放射性降下物の総量は22・73メガキュリーで、ビキニ環礁から東西に楕(だ)円(えん)状に広がり日本や米国、アフリカまで降灰が広がっていることが分かります。
米国南西部に日本の5倍ほどの降灰を観測。報告書が「人の住んでいる所への『死の灰』を減らすには冬の太平洋で核実験をすることであろう」と書いていることから、同センターは「自国への影響を少なくするための調査ではないか」と話しています。
第五福竜丸など数百隻が被災した、54年3月1日のブラボー実験では、米国の危険水域設定が不十分なため、漁船や島民が多数被災しました。
山下氏らは「被災の深刻さを理解して政府は持っている資料を公開して被災者の救援などに努力すべきです」と話しました。
■関連キーワード