2010年9月24日(金)「しんぶん赤旗」

補正予算案で自公誘う菅政権

似通う政策 仲介役は財界


 2010年度補正予算案をめぐり、民主党・菅政権が自民党、公明党に秋波を送り、今後の国会運営への「協力」を求めています。

 菅直人首相は21日、自民党の谷垣禎一総裁と国会内で会談し、自民党が打ち出した約5兆円規模の経済政策案について「前向きに対応できるようにしたい」と述べました。

自公持ち上げ

 この会談に先立つ17日、菅首相は改造内閣発足にあたっての記者会見で「自民党や公明党、野党からも景気対策の提案をいただいた」と自公両党を持ち上げ、「話し合いの場は何らかの形でできるのではないか。景気対策、補正という限定的な中身であれば、野党との合意形成も可能性は十分にある」と発言。補正予算案の内容や規模について自公などと事前に協議した上で提出し、成立を図る考えを表明しました。

 野田佳彦財務相も同日の初閣議後の記者会見で「中身や財源確保の問題で、野党と『共通点』があるかどうかという議論になる」と語っています。

 菅首相や野田財務相の発言の背景には、参院で野党が多数を占める「ねじれ国会」のもと、政府・与党だけでは予算関連法案を成立させることができない問題があります。

「共通点」とは

 では、与党と自公両党の「共通点」は何か。

 民主党政権の目玉である「新成長戦略」(6月18日閣議決定)は、企業目線で「強い経済、強い財政、強い社会保障」の一体的実現をうたい、「強い経済」の目玉として法人税率引き下げ、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の構築を位置づけ、将来の消費税増税を狙うものとなっています。

 自民党は8日、補正予算を前提にした経済政策案を発表しました。経済政策の柱として「法人税の引き下げ」を迫るとともに、「消費税を含む税制抜本改革の実施」を求めています。日本農業に壊滅的な打撃を与えるEPA(経済連携協定)やFTA(自由貿易協定)の構築という項目も、民主党の「新成長戦略」と似ています。

異例中の異例

 公明党は2日発表した経済対策案で約4兆円規模の補正予算を要求。「正規雇用を一定率以上達成した企業への補助金の増額」など、与党の政策と似た部分があるものの、法人税減税や消費税増税に言及していません。しかし、公明党は先の参院選公約に「消費税を含む税制の抜本的改革について、実行に移せる環境の整備」や「法人税率の引き下げ」と明記しています。参院選後も、首相官邸で13日に開かれた政府の特命チームの初会合に公明党衆院議員がオブザーバーとして参加。政府の会合に野党議員が参加するのは異例中の異例です。

 与党と自民党との仲介役は財界です。自民党は15日、石原伸晃幹事長ら新執行部が昨年の「政権交代」後に途絶えた日本経団連との懇談会を再開。「消費税増税」「法人税減税」の発信源である日本経団連の米倉弘昌会長は、税財政改革などで自民党に「超党派の協議」を要請し、与党の「新成長戦略」への協力を求めました。

 一方、民主党の岡田克也幹事長ら新執行部も21日、日本経団連を訪ね、経済運営で引き続き連携することを確認しました。

 国民の暮らしよりも財界応援のために「消費税増税」に突き進む菅政権の「有言実行」ぶりだけが浮き彫りになっています。(松田繁郎)





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