2010年9月22日(水)「しんぶん赤旗」

「あたご」裁判

「衝突は防げた」

第2回公判 漁船長、怒り爆発


 千葉県房総半島沖で2008年に海上自衛隊のイージス艦「あたご」が漁船「清徳丸」に衝突、漁船の親子が死亡した事件の第2回公判が21日、横浜地方裁判所(秋山敬裁判長)で開かれました。

 証人尋問が行われ、検察側証人として「清徳丸」と船団を組んでいた漁船「康栄丸」の中ノ谷義敬船長らが証言しました。

 公判は、漁船の回避義務のあった「あたご」が見張り不十分などで衝突、沈没させたとする検察側の起訴事実を被告側が「不同意」としました。そのため、漁船の航跡図をめぐって検察と被告が主張の立証を争っています。

 同日の公判で、検察側の主尋問に対し、中ノ谷さんは「清徳丸は自分たちと同じ方向に同じような速度で走っていた。清徳丸はわずか左舷前方にいた。同船の白灯を見た」と主張。清徳丸が「突然、右転回したことが衝突の原因」との被告側の主張を否定しました。

 被告代理人の「康栄丸のレーダー性能は設定したコースから何度くらいのズレを確認できるのか」との反対尋問に対し、中ノ谷さんは「レーダーは良好に動いている。(自衛隊の)あたごがレーダーを見ていればこの衝突は防げた」と怒りを爆発させました。

 海難審判に詳しい田川俊一弁護士は「被告側の尋問は、漁船側の記憶の不十分さを印象づける作戦がありありだ。しかし、清徳丸が康栄丸のわずか左舷前方に位置していたという証言の持つ意味は大きい」と評価しました。

 被告側代理人も閉廷後、「清徳丸の航跡をはかるうえで、今後のポイントになる」と関心を示しました。

 第3回公判は22日に行われます。





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