2010年9月9日(木)「しんぶん赤旗」
270万人が年金デモ
仏全土 「定年引き上げるな」
フランス全土で7日、主要労組7団体の呼びかけで年金改悪に反対する統一行動が行われ、全国213カ所で計273万5千人(主催者発表、警察発表112万人)が参加しました。組合側は今回の「大きな成功」を武器に政府に「改革」の見直しを迫る構えですが、政府は「改革」案の骨格については譲歩しない姿勢を見せています。(山田芳進)
政府の年金制度「改革」案の柱は、一般公務員や民間労働者の法定退職年齢を現在の60歳から2018年までに段階的に62歳に引き上げるというもの。
政府によると、年金基金は現在320億ユーロ(約3兆4000億円)の赤字で、定年を2歳引き上げることで280億ユーロを減らすことができ、2020年には赤字が解消します。サルコジ大統領は2日、年金問題を解決せずに大統領を辞めることはないと、「改革」法案の成立に「並々ならぬ決意」を示していました。
これに対し組合側は、年金保険料の徴収対象になっていないストックオプション(自社株購入権)の形での所得からの保険料徴収、雇用創出や雇用者負担の増額による保険料収入増により、定年を引き上げることなく年金制度は維持できると提案しています。
今回の労組による反対行動への参加者数は、5月の100万人(警察発表約40万)、6月の192万人(同約80万)を上回る規模となりました。前日に発表された世論調査でも、政府の提案が「公正である」と答えたのはわずか33%。組合の行動に道理があると答えた人は70%に上ります。
政府は8日午前に閣議を開き、サルコジ大統領は、肉体的負荷の高い職種に関しては例外的に定年を60歳に維持することなどを検討課題にすることを発表するものとみられます。組合側は、閣議決定を待って、今後の運動方針を協議する予定です。
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