2010年9月9日(木)「しんぶん赤旗」

米海兵隊

辺野古浜に新構造物

キャンプ・シュワブとの境界線


写真

(写真)米海兵隊が有刺鉄線(フェンス)を撤去し、代替バリアー構造物の設置を計画しているキャンプ・シュワブと辺野古漁港の浜の境界線。フェンスには「新基地建設ノー」のリボン、横断幕などが結ばれています=沖縄県名護市辺野古

 米海兵隊が沖縄県名護市辺野古のキャンプ・シュワブと隣接する辺野古漁港の浜の境界線の有刺鉄線を撤去し、新たな構造物の設置を計画していることが8日、分かりました。在沖米海兵隊が本紙の取材に明らかにしたもの。

 同基地の辺野古沿岸部には普天間基地(宜野湾市)を「移設」することで日米両政府が合意。現地では新基地建設に向けた県民の高まる反対世論、運動へのけん制のための構造物設置だと反発の声が出ています。

 海兵隊は、既存のバリアー(有刺鉄線)撤去について「境界線に沿って水際まで張られているが、悪天候の際には危険」と安全上の理由をあげています。

 新バリアーは「地元の人々のけがを防止するため」であり、「基礎構造物とシースルーのフェンス(柵)でつくられ、外観、安全性、敷地境界線の特定が向上する」としています。新バリアー設置は数年前から計画され、来年の早い時期に着工を予定。日本政府側と「調整されてきた」といいます。

 現在の有刺鉄線には新基地建設に反対する住民や本土、海外からのリボンやメッセージが書き込まれた布などが結ばれています。

解説

新基地反対の運動敵視

 沖縄の米海兵隊がキャンプ・シュワブと民間地との間に新しい「境界線バリアー」を設置するねらいは何か。

 「なんでわざわざ工事をしてまで新しい境界線をつくるのか。新しくしても新基地建設は許さない、というメッセージは見せていきますよ」。辺野古のテント村で新基地建設に反対する座り込みと監視活動を続ける住民は米軍の対応をやゆします。

 現在の境界線(有刺鉄線)は基地内陸部の林から海にかけて張られています。長さはわずか100メートル程度しかなく、高さも1メートル強。浜では新基地建設に反対する集会や、平和学習などで有刺鉄線まで接近することはあります。しかし「フェンスを越えた」などとして米軍とトラブルを起こしたことは皆無です。

 米軍は新基地建設反対の県民世論の高まりのもとで、現場に監視カメラを設置。上陸演習などの際には、銃を手にした警備兵が警戒につくなど住民監視の体制を強めています。

 海兵隊が本紙に回答した新バリアー設置の理由の中で次の文言があります。「既存のバリアーは動かすことができるので境界線を特定するのを難しくしている」。反対運動があたかも境界線を勝手に移動するかのようなことをあげています。

 新バリアーは、「基地の県内たらいまわしノー」「県内移設反対」という県民総意に支えられた住民運動への敵視そのものです。(山本眞直)





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