2010年9月3日(金)「しんぶん赤旗」

岩国見下ろす愛宕山に建設計画

米軍住宅許せない

市民怒る きょう国が地元に説明


 米海軍厚木基地(神奈川県)から空母艦載機59機の移転が狙われている海兵隊岩国基地(山口県岩国市)。政府は、同市の愛宕(あたご)山開発跡地に米軍住宅の建設を決め、3日には榛葉賀津也防衛副大臣が山口県と岩国市に計画の説明に訪れます。市民から怒りの声が広がっています。(内田達朗)


写真

(写真)「米軍住宅建設許すな」と続けられている座り込み行動=1日、山口県岩国市

 愛宕山は、岩国市の市街地を一望できる同市の中心にあり、岩国基地も見えます。

 「愛宕山を守る会」世話人代表で、愛宕神社の氏子総代の岡村寛さんは「愛宕山、そして愛宕神社は地域の中心です。米軍住宅も米軍関連施設も絶対に造らせてはなりません」と語ります。

 愛宕神社前の広場では、愛宕山への米軍住宅建設に反対する住民らが1の付く日に「愛宕山開発跡地見守りの集い」(座り込み)を行っています。

 愛宕山は「愛宕山新住宅市街地開発事業」で崩され、今は約60ヘクタールの平地が広がります。掘り出された土砂は、岩国基地の滑走路「沖合移設」に使われました。事業は、住宅などの整備と滑走路移設で「県東部地域の発展」と同時に「米軍機の騒音や墜落の危険の軽減」を図るとしていました。

 「地域の発展と騒音に苦しむ市民の助けになるなら」と地域住民は、1日2回の発破、騒音、振動、団地内を通る工事車両がまき散らす砂じんに耐え、神社の移転という苦しい決断もしました。

 しかし、県は赤字を理由に事業を中止し、国(中国地方整備局)も認可を取り消しました。米軍再編に“見直しの方向”で臨むとした民主党政権は今年度予算に開発跡地の買い取り予算を計上しました。

 跡地に隣接する百合ケ丘団地に住み、国の認可取り消しの撤回を求める訴訟の原告である笹井光昭さんは「地元に米軍住宅を建てさせないため、これからもたたかい続ける」といいます。「瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワーク」の桑原清事務局長は「現政権は自公政権と同じようなことをしようとしている。米軍住宅の建設は絶対に許せない。これまではたたかいの序章。本当のたたかいはこれからです」と。

 艦載機移駐の是非を問う「住民投票から私たち岩国市民は歴史を変えてきた」と語る、「住民投票を力にする会」の吉岡光則事務局長は「市内を見渡せる愛宕山に米軍将校が住み、市民を見下ろすなどまさに植民地の構図です」と話します。

 1日の座り込みに参加した井原勝介前市長は「愛宕山への米軍住宅建設は、県や市が基地の拡張・強化に加担することにほかなりません。私たちの意思で跡地を決して売らせず、私たちの手で岩国をつくっていかなくては」と述べました。

地図

 岩国住民投票 米海軍厚木基地からの艦載機移駐計画を受け、井原勝介市長(当時)が発案した住民投票条例に基づき2006年3月12日に実施。投票率58%で、有効投票の89%、全有権者の過半数が「移駐ノー」の意思を示しました。





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