2010年8月31日(火)「しんぶん赤旗」

賃金6%増を要求

派遣にも同一待遇求める

独鉄鋼労組


 ドイツ産別労組の中で最大の独金属産業労組(IGメタル、230万人)は27日、鉄鋼部門で働く労働者(約11万人)を代表して、使用者側に6%の大幅賃上げを求めることを決めました。これはドイツ鉄道で賃上げ交渉をしているドイツ鉄道労組(トランスネット)などが7月に掲げた6%の賃上げ要求に続く大幅なものです。

 決定はまた、労働協約の要求として初めて、鉄鋼分野で働く3000人の派遣労働者を今度の協約に含めることを要求、正規との同一労働、同一賃金を求めています。

 ドイツ労働組合総同盟(DGB)のゾンマー議長は「経済危機のときは労働者が(賃金凍結などで)犠牲になった。いまや景気回復の局面で、労働者はもっと報われるべきだ」と強調しました。

 この間、2008年のリーマン・ショック以来の景気後退を受け、労組側は賃上げ要求を事実上凍結し、雇用維持を中心課題としてきました。「ハンス・ベックラー経済研究所」によると、それまでの賃上げもインフレに“食われ”、実質賃金は8年間低下しています。

 ドイツ経済は今年4月から輸出が好調となり、独連邦銀行は8月初め、今年の国内総生産(GDP)成長見通しを3%に引き上げました。こうした変化の中で、労組側も大幅賃金引き上げ、派遣労働者の安定化などの要求を前面に出してきたものです。

 ビュルツブルク大学のペーター・ボフィンガー経済学教授は、ドイツが輸出で“一人勝ち”している、と他の欧州連合(EU)諸国からの批判もあるとし、個人消費を中心とした「国内経済回復こそが、他国の生産物も消費し持続的経済成長を約束する」とドイツ首相府に提言しました。

 経営者側は労働者の賃金を上げても欧州の他の国の経済状況を改善することにはならないとしています。労組側は「輸出への依存は、経済危機のときに脆弱(ぜいじゃく)性をみせつけた。持続可能な経済成長には国内景気の底上げが必要だ」と訴えています。(片岡正明)





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