2010年8月26日(木)「しんぶん赤旗」

「新薬の実験台扱い」

薬害イレッサ訴訟結審 原告ら批判

東京地裁


 多数の死者を出した肺がん治療薬「イレッサ」をめぐり、国と製薬会社の責任を問う薬害イレッサ東日本訴訟は25日、東京地裁で、原告、被告双方が最終弁論を行い、結審しました。

 原告側は、娘を亡くした近澤昭雄さんが陳述しました。「ものすごくよく効くとの情報を受け、『夢の新薬』と信じ込まされて」服用した経緯を述べ、「だまされたという思いが募るばかり。新薬の実験台として、まるでモルモットのように扱われたことを悲しく思う」と訴えました。

 多くの薬害事件で被害者救済に取り組んできた鈴木利廣弁護士が意見陳述しました。「薬害訴訟における司法による国の加害責任の指摘と被害者たちの『薬害根絶』の熱い願いに基づく運動が安全改革を前進させてきた」と述べ、「賢明な判断」を求めました。

 被告の国と販売元の「アストラゼネカ」社(大阪市)は「抗がん剤による副作用死は避けられない」「使われることによって安全性が高まる」などと主張。今年3月末現在で死者が810人にものぼっている深刻な被害に対し居直りました。

 「イレッサ」は、2002年7月、承認申請からわずか5カ月という異例のスピードで世界に先駆けて承認され、多数の死亡者を出しました。

 同訴訟は、遺族らが「がん患者の命の重さを問い、抗がん剤被害者救済制度の創設」などを求めて起こしました。西日本訴訟は7月30日、大阪地裁で結審。来年2月25日に判決があります。





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