2010年8月25日(水)「しんぶん赤旗」

生保の政界工作 菅内閣閣僚も深く関係

リクルート事件に匹敵


 保険金不払い問題のもみ消しをはかる生命保険業界の大掛かりな政界工作事件が永田町を揺るがしています。菅直人内閣は自民党政権時代に起きたことだとして傍観しています。足元に問題はないのか。


 2008年の一通の会合案内があります。

 「衆議院議員 ○○○○先生

 先にご内諾をいただいております懇談会を下記の通り開催致したく存じます。

日時 6月24日(火)

場所 「よしはし」(港区赤坂1・5・25)

 業界側出席者

 住友生命保険相互会社調査広報部長

 第一生命保険相互会社調査部長

 明治安田生命保険相互会社調査部課長

 日本生命保険相互会社調査部長」

 案内先の衆院議員は現在、菅内閣の主要閣僚の一人。会合当時、野党だった民主党で保険業法を所管する衆院財務金融委員会理事でした。

 同会合の3週間前、同年6月3日には、会合幹事役の日本生命常務執行役員ら3人を議員側が、銀座8丁目のホテルコムズ銀座内の中華料理店に招待していました。

会食し緊密

 酒食のもてなしを通じて緊密な関係がうかがわれます。衆院議員会館の当該議員事務所は日ごろから生保業界関係者がたむろし、民主党内でも「生保業界の永田町出張所」とささやかれていました。

 議員は保険金不払いが問題になった07年、生保協会会長会社(第一生命)に政治資金集めのパーティー券24万円分を購入してもらっています。

 生保業界の政界工作の目的は、銀行窓口での生保販売の解禁を阻止すること、生命保険控除など税制要望、折から社会問題化した保険金不払い問題で国会での追及をかわす点にありました。このため政治献金やパーティー券購入を通して国会議員を「買収」、07年5月の生保協会会長の国会参考人質疑の質疑時間の短縮などを働きかけました。

 生保業界の一連の政界工作の規模は、04年と08年の献金額を比較すると5年間で1・47倍となっていました。昨年総選挙では自民、民主など85人を支援、大手生保4社が自民、民主などの62人議員を総経費650万円をかけて接待しています。07年に生保協会長会社(第一生命)が購入した政治家パーティー券購入は自民、民主など44議員、総額1200万円――。1980年代末、政界を揺るがしたリクルート事件は、リクルート社が社業拡大のため関連会社の未公開株を政財官界要人にばらまいた事件でした。

二重の背信

 未公開株の譲渡やリクルート資金をうけた政治家は90人を超えました。生保業界の政界工作は、同事件に匹敵する規模と内容をはらむ一大政界買収疑惑です。

 生保業界がつぎ込んだ政界工作資金は、一般加入者に支払うべき保険金を不払いしてため込んだ内部留保金が、その一部になっています。二重の意味で保険加入者への背信です。関与議員を抱える自民、民主など各党にはもとより菅内閣にも疑惑の全容解明の責任が突きつけられています。





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