2010年8月23日(月)「しんぶん赤旗」

生保マネーでパーティー券

追及側も 答弁側も

不払い問題 国会質疑(07年)何があった


 生命保険の不払いをめぐる政界工作が問題化するなか、生命保険協会の渡辺光一郎会長が社長を務める第一生命が国会議員44人のパーティー券約1200万円分を1年で購入したことがあきらかになっています。その購入相手の顔ぶれをみると、きわめて計画的な働きかけをしていたことが浮き彫りになりました。(「政治とカネ」取材班)


 2005年2月に明治安田生命で保険金不払いが発覚して以降、生保業界は不払い問題の激震が続きました。

 第一生命のパーティー券購入が判明した07年度は、生保業界がきびしい批判にさらされていた時期です。国会でも大問題になっていました。

 生保大手4社は、業界への理解度や貢献度で国会議員をランク付けしています。この格付けをもとに、第一生命は、“金融族”と呼ばれる業界と近い議員を厚遇しつつ、若手議員ともパーティー券の購入で、広く接点をつくっています。

 しかし、第一生命のパーティー券購入は単なる“おつきあい”などではなく、きわめて“政治的”なものでした。

キーマン狙う

 生保各社の不払い問題は、衆参両院の財務(財政)金融委員会で主に議論されました。

 同委員会の答弁側も質問する側も多くの議員がパーティー券の購入を受けていたのです。

 07年度当時、同委員会に所属した議員のうち、衆院で6人、参院で4人にのぼります。前年度まで、同委員会理事だった2人の自民党衆院議員も購入を受けていました。

 衆院では伊藤達也委員長(当時)、参院でも峰崎直樹委員長(同)の名前もあります。

 答弁者側の尾身幸次財務相(同)ら2人も購入してもらっていました。

 パーティー券攻勢は国会だけでなく、党のキーマンにも及んでいます。

 自民党では、金融調査会長の金子一義元国土交通相や同調査会会長代理の村上誠一郎衆院議員が。民主党では峰崎財務副大臣が、当時の民主党「『次の内閣』金融担当大臣」でした。

質疑時間半減

 パーティー券攻勢の狙いはなんでしょうか。

 衆院財金委員会は07年5月に不払い問題の参考人質疑を行いました。

 当初の与野党の合意では、生保大手4社の社長に質問するというもの。質疑時間は2時間半となっていました。

 しかし、与党筆頭理事だった山本明彦前自民党衆院議員が質問時間の短縮を主張。結局、生命保険協会会長の斎藤勝利第一生命社長(いずれも当時)への1時間の質問へと大幅短縮したとされます。

 本紙の取材で「不払いが問題だった当時は、第一生命だけでなく、他の生保も私の事務所に来ていた」(財金委員だった自民党の元国会議員)など、活発な政界工作が当時、行われていたことがわかっています。時間短縮をめぐり、どんなやりとりがあったか、注目されます。

発覚後に急増

 第一生命は07年に、自民党の政治資金団体「国民政治協会」に1226万円の献金を行っています。同社は、不払いが発覚した05年以降、国民政治協会への献金を急増させました。生保大手の日本生命、住友生命、明治安田生命も同様でした。

 今回、日本共産党の大門実紀史参院議員が入手した内部資料と関係者の証言で判明した国会議員へのパーティー券購入。

 ことは、国会質疑という民主主義の根幹にかかわる問題をカネの力でゆがめたという疑惑を招くものです。第一生命だけでなく、生保業界全体として、どんな政界工作が行われたのか、解明が求められています。

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グラフ




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