2010年8月14日(土)「しんぶん赤旗」
映画「学校III」の舞台 職業訓練校
都が廃止計画
応募者増なのに「なぜ!」
東京都が、江東区にある都立城東職業能力開発センター(亀戸校)を2013年度末に廃止する方針を固めたことが13日までに、本紙の取材で明らかになりました。亀戸校は城東地域の拠点校で、1998年に上映され、感動を呼んだ映画「学校III」(山田洋次監督)の舞台となった学校です。
|
城東地域にある都立の公共職業訓練校は4校。このうち都は足立校(足立区)を13年度末までに建て替えて城東職業能力開発センターを同校に吸収。亀戸校は改築せず13年度末で廃止するとしています。都議会への条例提案時期は未定だといいます。
都立職業能力開発センターは、職業能力開発促進法に基づく公共職業訓練施設で、求職者向けの職業訓練、在職者向け能力向上訓練、中小企業の人材育成などを行っています。
亀戸校は、求職者向けの建築設備設計、電気設備管理、溶接、既製服の型紙をつくるアパレルパタンナー、ビル管理など6科目の訓練で年間440人が入校。71年度以降の修了生は、合計約2万人にのぼります。在職者向け短期講習も実施しています。
雇用不安が増大するなかで都の訓練校への応募者は増加傾向にあります。亀戸校の応募倍率は06年度が1・56倍だったのが、07年度1・65倍、08年度1・68倍、09年度は2・48倍と急増しています。
都産業労働局では、「足立校、亀戸校とも建築後40年以上たち、施設の老朽化が著しい。財務局が昨年策定した『主要施設10カ年維持更新計画』で足立校の改築が認められたので、今が一番いいタイミングだと考えて改築と合わせ再編したい」と説明します。
廃止計画について都の元幹部は「雇用不安が深刻化するなかで、職業訓練校は都民にとって大切なセーフティーネットだ。統廃合案は白紙撤回して、若者や中高年者の技術習得の場を増やし、雇用を確保することこそ都がやるべき仕事だと思う」と指摘しています。
東京都の公共職業訓練施設再編計画 都立の公共職業訓練施設は障害者校を含めて15校あり、年間約6000人が入校しています。1997年度には19校ありましたが、98年度から2007年度にかけて5校を廃止し、1校を開校。また、11年春に多摩職業能力開発センター(立川校)を昭島市に移転改築するのと合わせ、武蔵野校(武蔵野市)を廃止する計画です。