2010年8月11日(水)「しんぶん赤旗」
NTT元社員は過労死
札幌高裁 ストレス原因認める
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NTT東日本の元社員・奥村喜勝さん=当時58歳=が亡くなったのはNTTのリストラに伴う過労死であり、旭川労働基準監督署が労災と認めず遺族補償給付等を支給しないのは不当だとして国を相手取り、処分の取り消しを求めた「NTT奥村行政訴訟」の判決が10日、札幌高裁(井上哲男裁判長)であり、一審に続いて原告の訴えを認める勝利判決が出されました。
奥村さんは当時、NTTのリストラ計画で新たな雇用形態の選択を迫られ、慣れない業務に従事。障害を持つ妻を気遣い、遠隔地への転勤の不安とともに、自らも心臓病を患い、同社の健康管理規定でも宿泊出張ができない状態だったにもかかわらず、研修で長期の宿泊出張を命ぜられ、2002年6月9日、急性心筋虚血で死亡したものです。
判決では、奥村さんの死因は、これらの精神的ストレスが心臓疾患を増悪させたとして因果関係を是認しました。
これについて高崎暢弁護士は、「奥村さんは長時間、不規則労働ではなかったが、当該労働者にとってストレスが過度であれば、救済されることを認めた判決で、労災問題の武器にしたい」と話しました。
妻の奥村節子さん(63)は、「天国の夫に『見守っていてくれてありがとう』と伝えたいです」と語りました。
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