2010年8月6日(金)「しんぶん赤旗」

草の根運動 世界動かす

原水爆禁止世界大会・広島 分科会で討論


 原水爆禁止世界大会・広島は5日、広島市内などで、19の分科会・動く分科会を開きました。各分科会では、現実的目標となった核兵器廃絶に向けて、多彩なテーマで草の根の活動を交流しました。


各地の運動 多彩に共同広げて

第1分科会

写真

(写真)草の根運動の交流をする分科会参加者=5日、広島市

 第1分科会「核兵器のない世界を―草の根運動の交流」では二つの会場にわかれて、交流し、合計170人が参加しました。

 静岡県の代表は、県内で13日間行われた国民平和大行進のとりくみを報告しました。沿道に事前にビラと募金袋を配り、参加を呼びかけたところ、100万円近い募金が住民から寄せられたとのべ、核兵器のない世界をめざす国際世論と被爆国民の願いとが重なった行進になったと語りました。

 新日本婦人の会(新婦人)兵庫県本部の代表は、核不拡散条約(NPT)再検討会議にむけて「核兵器のない世界を」国際署名を全支部に訴え、5支部が目標を達成したと発言しました。寺社や教会、広範な団体などに協力を呼びかけたり、市役所での原爆展開催など多彩なとりくみを繰り広げて、今秋の国連総会にむけ署名を続けているとのべ、「草の根運動が世界を動かし、核兵器のない世界が見えてきたことに確信を持って頑張りたい」と表明しました。

 宮崎県原水協の代表は、「核兵器のない世界を」の国際署名を広げる運動で、都城市で市長、議長、被爆者団体の代表らが呼びかけ人となり、公民館を通じて署名を集めたと報告。この運動に3千人以上がかかわり、住民の45%にあたる7万7千人分を集めたと語りました。

 知人・友人に署名を集めてもらったJMIU(全日本金属情報機器労働組合)の代表は、2025人分に達したと報告。署名を集めた友人が、「核兵器廃絶は、自分の思いでもある。それを行動にしていることに感謝している」と語ったエピソードを紹介しました。

 新婦人大阪府本部の代表は、核兵器廃絶を話題にしようとバッジ1万個を作製して、残り300個になるまで普及し、16万人を超える署名を集めたと語りました。広島医療生協の青年は、2年目の研修の一環として、被爆者から被爆体験を聞きとり、冊子を作製したと報告。英訳も掲載して、オバマ米大統領にも送りました。

 千葉県からは、幅広い個人、団体でつくる「平和と文化のまち四街道」をめざすアオギリの会のメンバーが発言。市長・前市長、議長や市議、県議をはじめ200人を超える市民が国際署名に賛同し、多くの自治会で回覧板がまわされ、4万108人分の署名を集めた経験を語りました。

 青年たちが元気に発言し、「世界大会に参加して勇気をもらった。署名を集め続けたい」「まず知ることが大事だと思った」「想像力を働かせることが大切だ」と話しました。

 アメリカのジャッキー・カバソ氏、フランスのロラン・ニベ氏も発言しました。

北朝鮮核問題 対話でこそ解決

第3分科会

 第3分科会「非核平和のアジアを―アジアの運動との交流と連帯」では、海外代表らの問題提起を受けて議論しました。

 韓国・進歩新党の趙承洙(チョ・スンス)議員は、北朝鮮の核開発は批判すべきだが、同国に対する対決姿勢を強めても問題解決には役立たないと強調。日本の自衛隊の創設が朝鮮戦争の時だったように、日本の軍事大国化は朝鮮半島情勢に結び付いていると述べました。

 米国のジョセフ・ガーソンさんは、現在の米政府の対アジア戦略の中心が中国を自国の世界支配網に取り込むことにあると指摘。沖縄の米軍基地は中国封じ込めのために置かれていると指摘しました。

 中国の牛強さんは、北東アジア情勢は全体としては安定していると指摘しました。北朝鮮の核問題はあるが、解決の道筋は作られており、対話と交渉で実現すべきだと述べました。

 日本原水協の土田弥生さんは、北朝鮮の核保有は容認できないが、日本政府が危機をあおっていることが問題の解決を遅らせ、地域の緊張を招いていると批判。米国の「核抑止力」に依存しない安全保障が必要だと指摘しました。

 問題提起を受けた質疑応答では、中国政府の「核抑止力」の考え方やオバマ米政権の核政策などが議論されました。

非核三原則 法制化の実現ぜひ

第5分科会

 第5分科会「核密約の廃棄、核搭載可能艦船の寄港反対、非核三原則の実行を」では、浅井基文・広島平和研究所所長が発言し、各地の代表が、米艦船の母港化・寄港の実態を告発。参加者は、非核三原則実行にむけた運動をめぐって討議しました。

 浅井氏は、「民主党政権になり非核三原則は風前のともしびになっている」こと、また米オバマ政権が発表した核態勢の見直し(NPR)では、日本を含む海外への核兵器再配備方針が打ち出されている事実を紹介。「非核三原則を守る課題は厳しい試練にさらされている」として、(1)核持ち込みを正当化する北朝鮮・中国の脅威論を打ち破る(2)日米安保は日本を守ってくれないことを多くの国民に考えてもらう―などの課題を提示しました。

 米原子力空母ジョージ・ワシントンの母港化反対運動を続ける神奈川県横須賀市の代表、米艦船の寄港が顕著になっている北海道と高知県の代表が発言。兵庫県の代表は、1975年の開始以来、米艦船の入港を許していない非核神戸方式の例を話し、「日本各地の港での米艦船入港を許さないネットワークをつくるべきだ」と提案しました。

 討論では、日米核密約は“存在しない”と事実に反する結論を出した政府のもとで、現在、非核三原則を二原則にする動きが出ていることに懸念が出され、「三原則を守る署名活動を」「非核三原則法制化をもとめる運動が必要」との意見が出されました。





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