2010年8月3日(火)「しんぶん赤旗」

消費増税「前向き検討」

首相、自民提案に“共鳴”


 菅直人首相は2日、秋の臨時国会に自民党が再提出する、消費税増税の方針を明記した「財政健全化責任法案」について、「真摯(しんし)に受け止めて、私たちとしても前向きに検討するように指示したい」と答弁しました。衆院予算委員会での自民党の谷垣禎一総裁に対する答弁。参院選で示された民意に背く消費税増税の大連立の危険性が改めて浮き彫りになりました。

 質問で谷垣氏は、消費税増税をめぐる菅首相の選挙中の発言が国民の批判を浴びたことについて、「これで懲りてしまい、(消費税増税が)取り上げられなくなったら不幸だ」などと主張。首相も、「財政再建の問題については一歩もひくつもりはない。ぜひ建設的な議論をお願いしたい」と述べ、「財政再建」を口実に消費税増税の与野党協議を呼びかけました。

 これを受けて、谷垣氏は、2011年度までの消費税増税法案の成立を規定した2009年度税制改正法付則104条を取り上げ、「スケジュールの変更は認められない」と強調。首相は「参院選の結果を踏まえ、(11年度の)期限は改めることにした」と述べながらも、一方で「104条の問題は政府の義務でもある。この通りに進めるとすれば、どういうやり方があるのか、なんらかの対応をしなければならない」などと増税推進の立場で臨む姿勢を示しました。

 谷垣氏は、自民党の「財政健全化責任法案」には、与野党協議会の設置も明記されており、「わが党の法案を審議していただければ当然そういう(協議の)場が成立する」と主張しました。


参院選審判ないがしろ

 「(参院選での大敗にこりて消費税増税が)取り上げられなくなったら不幸だ」。2日の衆院予算委員会で消費税増税をあおる自民党の谷垣禎一総裁。菅直人首相は、「国会の中で一つの方向性が出ればありがたい」と応じました。消費税増税の大連立の危険性が具体的な形となって浮かび上がりました。

 菅政権と自民党が共鳴しあう共通の土台は財政「健全化」という口実です。

 菅内閣が6月22日に閣議決定した「財政運営戦略」は、「政権交代を機に、これまで成し得なかった税制の抜本的な改革を進め(る)」と宣言。菅氏はそれに先立つ同17日の記者会見で、「自民党が提案している(消費税率)10%という数字を一つの参考にしたい」と明言しました。

 菅氏が同日の質疑で「前向きに検討する」と語る自民党の「財政健全化責任法案」は、社会保障財源を口実に消費税増税の方向を鮮明に示したものでした。

 両氏の響きあいは、増税スケジュールまで浮かび上がらせます。

 谷垣氏は、自公政権の下で成立した2009年度税制「改正」法付則104条の「スケジュール変更は当然認められない」と迫りました。

 菅氏は「選挙結果を踏まえ、11年度の期限は改めることにした」と応じる一方、付則通りに進めるかどうかは、「適当な時期になんらかの対応をする」と言及しました。

 民主党は、「改正」法成立当時、同付則に反対していました。しかし、政権をとった途端、同付則の廃止を拒否。自公政権時代に引かれたスケジュールにそって増税を推進する立場にたっています。

 同日の予算委員会で、自らの消費税発言について「すぐにも消費税を上げるかのように受けとめられたこと、そういう誤解を招いたことは申し訳ない」と繰り返した菅氏。しかし、自民党からのエールを受け、参院選で示された民意をないがしろにし、消費税増税を着実に進めようとしています。(山田英明)





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