2010年7月29日(木)「しんぶん赤旗」

猛暑、洪水、寒波

世界で異常気象


 猛暑が続く日本だけでなく、世界各地で異常気象が起きています。北半球では猛暑や豪雨、冬を迎えている南半球では寒波で被害が出ています。


ロシア

火災282カ所 村ごと焼失も

 記録的な猛暑に襲われているロシアでは、各地で山火事や泥炭火災が発生。非常事態省は27日朝の時点で282カ所で火災が発生し、この夏すでに41万8千ヘクタールが焼けたと明らかにしました。同国中央部では村が丸ごと焼失したケースも報告されました。

 干ばつで同国の全耕作面積の2割にあたる1千万ヘクタールの農地で作物が枯れました。現地メディアは「多くの農家が破産の危機にひんしている」と伝えました。

 130年ぶりの酷暑となっている首都モスクワには、近郊で発生した火災の煙による濃いスモッグが流れ込んでいます。ロイター通信によると、スモッグは高濃度の一酸化炭素を含んでおり、健康被害が懸念されています。

 現地からの報道によると猛暑に伴い水の事故が多発。少なくとも数百人の死者が出ているといいます。

南 米

マイナス24度 非常事態宣言

 ペルーでは気温がマイナス24度まで下がり、同国政府は24日、全国の半分以上にあたる16州に非常事態宣言を発令しました。首都リマの気温は46年ぶりの低さです。

 ボリビアは今冬、何回かの寒波に襲われ、すでに20人以上が死亡。暖房器具がない家庭や学校が多く、被害が広がっています。政府は子どもの健康維持のため学校を一時閉鎖しました。

 アルゼンチンでは、低体温症で10人以上が死亡し、暖房器具の不具合による中毒で少なくとも30人が亡くなりました。

 ブラジル、ウルグアイ、チリでも死者が出ているほか、パラグアイでは家畜の牛が多数凍死しました。

中 国

中南部に豪雨 1億人超被災

 【北京=小寺松雄】中国南部一帯や中部の長江流域で、豪雨や洪水被害が相次ぎ、民政省は4月以降28日午前までに928人が死亡、477人が行方不明と発表しました。

 全国31地域中27地域で1億3400万人が被災、960万人が避難しました。直接的な経済損失は1765億元(約2兆3000億円)にのぼります。

 江西省の4〜6月の大雨は1959年に測候所ができてから最大。湖北省荊州や陝西省渭河(いが)では7月、「100年来初めて」という豪雨と洪水に見舞われました。

 南部の広東省は07年、09年には干ばつ、06年と今年は洪水に襲われており、「地球温暖化による異常気象と思われる」(地元紙)との声も出ています。

偏西風の蛇行が影響

 気象庁によると、世界各地の猛暑は偏西風の蛇行が原因だと説明しています。

 偏西風は中緯度付近の上空を西から東へ向かう大気の流れです。夏に偏西風が北へ大きく蛇行すると、内側に上空高いところから続く「背の高い高気圧」が形成され、暖かな風が吹き降りてくるため、猛暑になるといいます。

 モスクワなどで記録的な猛暑となっているのは、ロシア西部で、現在、偏西風が北へ大きく蛇行しているためです。

 気象庁は、偏西風は日本付近でも大きく北へ蛇行しており、東日本や西日本が猛暑となっているのはこのためだと説明しています。

 偏西風の蛇行は北半球では猛暑をもたらしていますが、南半球の南米アルゼンチンやパラグアイでは寒波をもたらす原因となっているといいます。

 偏西風の蛇行は、熱帯域の海水温の変動などさまざまな原因によって起こりますが、現在の蛇行の理由を特定することはできず、今後どうなるか予測することも難しいとしています。





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