2010年7月27日(火)「しんぶん赤旗」

自民党

消費税増税“前のめり”

世論、勝手に解釈 党内議論を開始


 自民党が参院選の結果を受け、消費税増税に“前のめり”の姿勢を強めています。

 同党税制調査会(野田毅会長)は22日に幹部会を開き、参院選で公約した消費税率の10%への引き上げについて、「制度設計」の議論を開始しました。8月上旬から議論を本格化させ、来春のいっせい地方選挙までに結論を出す方向です。

 自民党の谷垣禎一総裁は22日の会見で、「今回の参院選の自民党の公約の中でも、当面10%というのは柱の一つ」「基本線は変えるわけにはいかない」などと述べ、税率10%を最低線として党内議論を行うことを表明。石破茂政調会長は税調幹部会の席上、「わが党はこれから総選挙モードに入る。この議論をさらに洗練されたものにしていく」と語りました。

 さらに民主党との増税協議について、大島理森幹事長は、民主党が(1)昨年の総選挙マニフェストを総括する(2)しっかりとした増税案をつくる――この前提条件がクリアされれば「当然、われわれは議論しなければならない」(18日の民放テレビ)と表明しました。

比例は最低

 自民党が消費税増税に前のめりになる要因の一つには、国民世論の勝手な解釈があります。伊吹文明元財務相が税調幹部会で「民主党の敗因は消費税ではない。もし消費税なら、わが党はもっと負けているはずだ」と述べたと報じられているように、自民党が参院選で議席を増やしたことから、国民から消費税増税への理解が得られたとの受け止めがあることは明白です。

 しかし、参院選挙で自民党は、選挙区で民主党を11議席上回る39議席を獲得したものの、比例では過去最低の12議席で、得票も前回参院選から247万票減の1407万票でした。国民が増税への信任を与えたなどとはとてもいえる状況ではありません。

 「毎日」26日付が発表した世論調査結果では、消費税引き上げ反対が52%で、賛成の45%を上回り多数派となっています。また同調査では、「自民党が政権に復帰することを期待しますか」との問いに、「期待しない」が71%にのぼっています。

財界の圧力

 さらに、前のめりの背景にあるのが、消費税増税路線の震源地である財界の圧力です。日本経団連を中心にした財界がこの間、法人税減税と抱き合わせで消費税増税を強く求めてきました。経団連の米倉弘昌会長は参院選開票日翌日の12日、民主党の敗北について、「消費税自体が敗因になったとは思っていない。ねじれ国会で、山積する課題が先送りということはあってはならない」と述べました。自民党の理屈を先取りしたうえで、消費税増税に「超党派」で取り組むよう改めて要求したのです。

 自民党と民主党との「大連立」騒動(2007年)の際の“仲介役”を自認する自民の森喜朗元首相は、23日の民放番組で、税制や社会保障などをテーマに超党派で協議する「救国国民会議」の設置を呼びかけ。同じ番組に出席した民主党の渡部恒三元衆院副議長が「賛成だ」と応じるなど、危険な動きはくすぶったままです。





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