2010年7月24日(土)「しんぶん赤旗」

後期医療の根幹残す

厚労省 「新制度」の中間案


 厚生労働省は23日、高齢者医療制度改革会議を開き、特定の年齢以上の高齢者を差別して負担増と医療抑制を強いる後期高齢者医療制度の根幹を残す「新制度」の中間とりまとめ案を示しました。


 それによれば、約8割の高齢者を国民健康保険(国保)に加入させます。サラリーマンとして働く高齢者やサラリーマンの家族に扶養される高齢者は組合健保や協会けんぽなどの被用者保険に入ります。

 国保では、現役世代と高齢者の財政運営を切り離して別勘定にします。75歳(または65歳)以上の高齢者は都道府県単位、それ以下は市町村単位の財政運営とします。別勘定の対象年齢を65歳以上とするか75歳以上とするかは、引き続き検討するとしています。その上で、高齢者の医療給付費の1割を高齢者自身の保険料でまかなう方針です。

 高齢者医療の財政を別勘定にして一定割合を高齢者の負担にするのは、後期高齢者医療制度と同じ仕組みです。これでは、高齢化の進展や医療技術の進歩などで医療費が増えるにつれて高齢者の保険料が際限なく上がります。保険料アップか医療費抑制かの二者択一を高齢者に迫るものです。

 後期高齢者医療制度には、高齢者の人口増加に伴い、高齢者の保険料の負担割合が1割から自動的に引き上がっていく仕組みもあります。高齢者の保険料の伸びが現役世代の保険料の伸びを上回る構造のため、「新制度」では「高齢者と現役世代とで適切に分担する仕組みを設ける」としています。

 委員からは「高齢者は国保の中で年齢区分されることになる。現在の後期高齢者の区分とそう変わるのか」(日本高齢・退職者団体連合の阿部保吉事務局長)との批判も出されました。

 民主党政権は、公約に反して後期高齢者医療制度の廃止を先送りし、2013年度に創設をめざす「新制度」の議論を高齢者医療制度改革会議で行ってきました。今後、公聴会を開いた上で8月末に同会議の中間とりまとめを決定。秋以降、最終とりまとめの議論を行い、来年の通常国会に関連法案を提出する意向です。





■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp