2010年7月22日(木)「しんぶん赤旗」

「思いやり予算」特別協定で日米交渉

モノ言えるか民主党

聖域なくメス入れよ


 米国務省のシャピロ次官補(政治・軍事担当)が22日に来日し、来年3月末に期限切れとなる米軍「思いやり予算」(在日米軍駐留経費負担)特別協定に関する日米の交渉が始まります。民主党政権下では今回が初めての特別協定交渉です。日本のくらしや財政問題がさらに深刻化するなか、“聖域”なく「思いやり予算」にメスを入れるのかどうか大きく問われます。

野党時代に反対

 もともと米軍への「思いやり予算」は、日米地位協定上も日本側に負担義務のないものですが、日本政府が「思いやりの精神」(金丸信防衛庁長官=当時)と称して1978年度に62億円を計上して始まりました。

 その後、政府は「思いやり予算」に関する解釈を拡大して対象を広げましたが、それも限界に達し、87年度に特別協定を締結。米軍基地従業員の労務費や基地内の水光熱費、米軍の訓練移転費を日本側が負担することを定めました。同協定は「暫定的な措置」とされながらも、20年以上も延長が繰り返されています。

 民主党は野党だった2008年当時、特別協定の5回目の延長をめぐる国会審議で、国民の批判の高まりに押され、延長に反対。反対の理由として、▽諸外国と比較して日本の負担が突出している▽米国の経費節減の取り組みに政府が十分な検証を行っていない▽米国に言うべきことを言えない政府の姿勢―などをあげました。条約、協定が参院で否決されたのは戦後初の出来事でした。

過去最高を計上

 しかし昨年の政権交代後、民主政権は今年度予算で「思いやり予算」にメスを入れないばかりか、「思いやり予算」と沖縄に関する特別行動委員会(SACO)関係経費、米軍再編経費を含めた米軍関係経費は、過去最高の3369億円に膨れ上がらせています。

 これに対しては財務省さえも、これまで「思いやり予算」について「近年増加に転じている」と指摘し、見直しを提起しています。

 しかし、ある防衛省幹部は「負担の削減を米側に求めるといった話は聞いていない。方向性はやりながら定めていくのだろう」「年内に交渉をまとめて、年明けの国会に諮るだろう」と語ります。現段階で、「思いやり予算」の削減・廃止の姿勢は見えません。

 参院選挙で10議席獲得したみんなの党は公約で、「対等な同盟関係という立場から、『思いやり予算』の見直し」「米国に言うべき事は言い、求めるべきことは要求」と明記。同党を含め、各政党が今後、どう対応していくのかも重要です。(洞口昇幸)

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