2010年7月18日(日)「しんぶん赤旗」

主張

アナログ放送停止

「難民」生まないため延期を


 テレビのアナログ放送を停止する「デジタル完全移行」が1年後に迫っています。政府はそれまでに、テレビの買い替えやアンテナの設置などを終えるよう、国民に求めています。

 完全移行にはさまざまな問題が残されているのに、政府は無理を承知で計画を強行しています。このままでは、テレビが見られなくなる「テレビ難民」が大量に生み出されます。政府は、視聴者を切り捨てる「2011年7月24日完全移行」へのこだわりをやめ、問題解決を優先すべきです。

アナログ「追い立て」

 アナログ放送は、7月から画面の上下に黒い帯が入っています。横長のデジタル放送画面に合わせたもので、黒帯部分にアナログ終了の案内が表示されます。アナログ停波後のアナログテレビの画面を「再現」した「砂嵐」放送も実施されました。アナログからの“追い立て”をくらっていると感じる人もいることでしょう。

 「経済的負担が大きい」「(多機能のデジタルテレビは)年寄りには使いこなせない」「まだ使える(アナログ)テレビがもったいない」。全国消費者協会連合会のアンケート調査(3月発表)などにあらわれた問題の難しさを、政府は直視すべきです。

 総務省が5月に公表した地上デジタル(地デジ)浸透度調査は、地デジ対応のテレビやチューナーなどの受信機を保有する世帯を83・8%としています。今回調査は数字が高めに出ていると、方法に疑問が指摘されています。それでも、完全普及には依然として困難があることが示されています。

 重大なのは、切り捨てられる多くが低所得層で、社会的弱者の情報格差が一気に拡大しかねないことです。同じ調査によれば、年収200万円未満の世帯は67・5%と平均を大きく下回ります。

 政府は生活保護世帯などに地デジ用チューナーを無償配布しています。しかし、周知が徹底しないなどで、申請は6月末の締め切りまでに想定対象世帯数の3分の1程度にとどまり、配布事業を今年末まで延長しています。

 地デジ対応受信機を保有していても、山間地をはじめ、地デジ放送が受信できない世帯があることも問題です。

 都市部でも、集合住宅などの共聴設備が地デジに対応していない問題があります。厄介なのはビル陰での電波障害で、原因特定が困難なことなどから、地デジ対応済みの共聴設備は4割台にとどまっています。東京に建設中の新電波塔「スカイツリー」の運用で難視聴状況が変わる可能性があるものの、開業は12年春の予定です。

 政府は計画実施を「可能だ」としているものの、問題は複雑で、1年で解決できるものではありません。視聴者切り捨ては許されません。地デジ対応受信機の普及や買い替えが進み、条件が熟すまで、完全移行を延期すべきです。

支援の抜本強化を

 国民の費用負担の軽減措置も拡充する必要があります。低所得世帯への無償チューナー配布は、対象がNHK受信料を全額免除されている世帯に限られており、住民税非課税の世帯や低年金の高齢者世帯などにも対象を広げるべきです。政府は、問題の解決を当事者まかせにせず、支援制度を抜本的に強めるべきです。





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