2010年7月16日(金)「しんぶん赤旗」

07年分 検察審議決

小沢氏の「不起訴不当」

水谷ヤミ献金 供述“信用できる”


 民主党の小沢一郎前幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる政治資金規正法違反事件で、2007年分の収支報告書への虚偽記載容疑に関して小沢氏を不起訴とした東京地検特捜部の処分について、東京第1検察審査会は15日までに、再捜査を求める「不起訴不当」を議決しました。


 不起訴不当に法的拘束力はなく、特捜部が再捜査で処分を変更しなければ、再度の審査申し立てはできませんが、「『秘書に任せていた』といえばすむのか」と指摘するなど、小沢氏の政治責任を改めて問うものとなりました。日本共産党の穀田恵二国対委員長は同日の記者会見で、「国会の場で政治的・道義的責任の追及と解明をすることが避けて通れない」と述べました。

 今回の議決は、07年分の報告書に、土地購入代金4億円の返済と関連政治団体からの寄付1億5000万円を記載しなかったことなどについて、特捜部が会計責任者だった元公設第1秘書大久保隆規(48)、元私設秘書池田光智(32)両被告を起訴したのに、小沢氏は嫌疑不十分で不起訴としたことについてのもの。議決は8日付。

 議決書は、虚偽記載を小沢氏に報告し、了承を得たとする陸山会の事務担当者だった衆院議員石川知裕被告(37)の供述について、「信用性は相当高い」と判断。池田被告が、07年分の報告書について、「先生に返済しました4億円については載せませんので」と報告し、小沢氏が「そうか、分かった」と了解したとする新たな供述も明らかにしたうえで、「両被告と小沢氏との上下関係を考えれば、ある程度詳しく内容を説明したと推認できる」としました。

 さらに、胆沢(いさわ)ダム関連工事を受注している中堅ゼネコン、水谷建設関係者の「小沢事務所に資金提供した」とのヤミ献金提供の供述についても、「具体的で信ぴょう性が高く、4億円の原資を隠ぺいする必要性があったことの根拠になりうる」としています。

 以上のことから、「秘書が独断で成し得るとは考えられない」として、(1)水谷建設の資金提供について、石川被告の取り調べを含むさらなる追及(2)大久保、石川、池田の各被告、小沢氏らに手帳やメモなどの提出を求めて事実関係の裏づけをとる(3)小沢氏に対し、改めて詳細な取り調べを行う―の3点を要求。「これらの再検討、再捜査を経ない限り、検察官の不起訴処分を支持することは到底不可能」と強調しています。

 この事件では、04、05年分の収支報告書への記載については、東京第5検察審査会が4月27日、小沢氏と石川被告らとの共謀を認定し、「起訴相当」を議決。特捜部はこれを受け、小沢氏や石川被告らを再聴取しましたが、5月21日に小沢氏を再び不起訴としています。

図

 不起訴不当 検察審査会で有権者の中から無作為に選ばれた11人の委員のうち、8人以上が起訴すべきと議決すれば「起訴相当」となります。「不起訴不当」は6人以上が議決した時に出されるもので、検察は再捜査をしなくてはなりません。5人以下の場合は「不起訴相当」となります。昨年5月から審査会の権限が強化され、「起訴相当」の決定後に検察が再び不起訴にしても、審査会で再度「起訴相当」を議決すれば、必ず起訴される仕組みになりました。





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