2010年7月15日(木)「しんぶん赤旗」

八ツ場ダム・負担金差し止め訴訟

原告の訴え退ける

さいたま地裁


 政府が建設中止を表明している八ツ場(やんば)ダムについて、埼玉県の建設負担金の支出差し止めと返還を県民32人が求めた住民訴訟の判決が14日、さいたま地裁(遠山広直裁判長)で言い渡され、請求はいずれも却下されました。原告側は控訴する方針です。

 同ダムは、利水と治水を主な目的に国土交通省が群馬県長野原町に総事業費4600億円で計画していました。

 原告らは(1)同ダム計画への参加は埼玉県の過大な水需要予測によるものであり、現在でも十分な水源を持っている(2)過去の大雨などからも、同ダムの治水上の効果が低い(3)ダムサイト建設予定地の地質がもろく、地すべりの危険性(4)貴重な動植物が生息する現地の環境破壊などを主張してきました。

 こうした原告の主張に、遠山裁判長は「原告の主張は一つの評価としてありうるとしても、(県の支出が)著しく合理性を欠いているとはいえない」とし、訴えをしりぞけました。

 さいたま地裁で最大の争点となった水利権については「本来、予定されている取り扱いと実態との間に乖(かい)離が生じている」と指摘するなど、県側の主張に疑問を投げかけました。

 判決後、弁護団の野本夏生弁護士は「これまで4都県での住民訴訟の判決と比べても、原告の主張への理解が低く、大変不満だ。治水については評価が一つも入っていない」と批判しました。

 八ツ場ダムをめぐる訴訟は、6都県で行われ、一審判決が出たのは、今回で5件目。いずれも原告側が敗訴しています。残る栃木県では、年度内に判決が言い渡される見込みとなっています。





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