2010年7月15日(木)「しんぶん赤旗」
ダム事業見直しへ
代替案作成を求める
国交省有識者会議
国土交通省の有識者会議は13日、建設・計画中のダム事業の見直しに関する提言をまとめました。ダム以外にも堤防のかさ上げや遊水地、放水路の設置などによる代替案を複数つくり、コストを最も重視して治水対策を決めるとしています。
提言では、「財政難を背景に本当に必要なダムかどうか見極め、事業の必要性や投資効果を厳しいレベルで検討する」と指摘。「『できるだけダムにたよらない治水』への政策転換をすすめる」とし、「流域と一体となった治水対策」を求めています。
検証対象となるのは国(地方整備局)と水資源機構が事業主体の「直轄ダム」31事業と、国の補助で道府県が建設する「補助ダム」53事業。
検証では、各事業主体がダム事業について総事業費や工期などを点検。同時に遊水地など25の手法を組み合わせた代替案を作成し、実現性、環境への影響など8項目で評価します。これをもとにダム継続か中止かを決め、国交相に報告します。国交相は有識者会議の意見を聞き最終判断します。
事業主体が方針を決めるさい、住民や自治体の意見を聞くことも盛り込んでいます。
解説
第三者機関での検証必要
ダム事業にあたってダム以外の治水対策との比較を義務付けるのは初めてであり、ダム事業の見直しを求める世論と運動に押されたものです。
これまでダム事業は、現実から遊離した目標流量など過大な計画を前提に、ダムに頼らない治水・利水計画の検討もろくにせず、“ダム建設ありき”ですすめられてきました。その点でダム以外の代替案の作成を義務付けたことは注目されます。
しかし、ダム事業の検証を行うのは事業主体であり、これでは真の見直しが行われる保証はありません。前原誠司国交相が中止表明した八ツ場ダム(群馬県)でも、関係知事などはすべて推進派であり、まともな検証が行われる保証はありません。検証は、住民も参加した第三者機関で客観的科学的に行うことが求められます。
代替案についても、大本にある目標流量など治水・利水計画の見直しについては不明確なままです。過大な目標や計画を見直さない限り、抜本的な代替案にはなりません。
検証では本体契約済みなどを理由に52事業が対象外となっています。浅川ダム(長野県)、大滝ダム(奈良県)など必要性も乏しい事業も多く、それらも対象にすべきです。
また、検証対象ダムについては、新たな段階に入らないとしながら、ほとんどの工事が止まることなく進行しています。中止となった場合のムダ遣いをなくすためにも、安全確保など必要な工事に限定すべきです。(深山直人)
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