2010年7月11日(日)「しんぶん赤旗」
中国炭鉱事故 昨年の犠牲者2631人
基準強め、安全確保へ
【北京=小寺松雄】中国政府は、炭鉱事故を防ぎ犠牲者を減らすために、「炭鉱指導者が労働者と一緒に坑内に入る」規則を厳しく順守させることにしました。7日の国務院常務会議(閣議に相当)で決めたものです。
石炭生産について政府はこれまで、国としての安全管理策を厳しくするとともに、指導者自身が坑内に入ることによって安全確保の意識が高まると奨励してきました。
炭鉱指導者の入坑については、07年に国家安全生産監督管理局など7省庁が「小型炭鉱の法定代表者が月10回以上入坑する」ことを提起していました。しかし、罰則がないこともあって順守されないままでした。
今回の国務院会議で確認された規則は、「炭鉱と鉱山の指導者は作業班のリーダーを務め、作業員とともに坑内に入り、出る」と定めています。
中国国家炭鉱安全監督局の黄毅副局長は「指導者と作業員が緊密な運命共同体となれば、指導者は自分と作業員の命を大事にし、事故の危険を迅速に見つけ出し、取り除くようになるだろう」と語っています。
同監督局は、新基準での炭鉱規模の適用範囲、坑内に入る回数、指導者の責任について、「これまでになく厳しいものになっている」と説明。「新基準」は今月半ばまでに発表するとしています。
中国の炭鉱事故死者は毎年数千人という状態が続いていましたが、昨年は2631人に減っていました。
中国メディアは、2003年と09年を比較すると、石炭生産100万トン当たりの死者は03年には約5人だったのが、09年は0・86人に減ったと指摘しています。
それでも中国の炭鉱事故は後を絶ちません。今年3月には山西省王家嶺炭鉱の浸水事故で38人が死亡。昨年11月には黒竜江省鶴崗炭鉱のガス爆発で108人が死亡しています。

