2010年7月6日(火)「しんぶん赤旗」
中国豪雨 死者266人に
被災者4400万人 防災対策が課題
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【北京=小寺松雄】6月に中国南部を襲った豪雨は、今月4日時点で死者266人、行方不明199人、被災者4400万人という大災害となりました。
各地では復旧工事、生産再開などに力を入れるなか、災害は防げなかったのか、被災を小さくすることはできなかったのかなどの議論も起こっています。
中国は、1998年に3000人を超す死者を出した大水害を経験しています。
今回、江西省では唱凱地域で中級河川の撫河(ぶが)が決壊・はんらんしました。この河川は新中国になってからの大規模なはんらんは6回目です。
4〜6月の同省の降雨は、観測記録のある1959年以来最高でした。半世紀に一度といわれる豪雨で、今回の水害は「天災」とする意見が多数です。
98年決壊の後は
しかし、98年にも決壊した撫河のその後はどうだったのかという声もあります。
国営新華社通信が主管する雑誌『遼望』6月28日号は、撫河流域の水害地ルポを掲載。これまで何度も決壊したのに、唱凱地域の堤防はコンクリートではなく、土砂だったと指摘しています。
さらに防災財政に言及。省政府はこの間、唱凱地区の堤防補修に2000万元(約2・6億円)をかけたとしているが、「これではおよそ間尺にあわない」と断じています。
省内の中小河川は42。今年、中央から省に下りてくる中小河川管理費は7000万元、これに省財政の1・5億元を加えただけでは、中小河川の補修はとても追いつかないというのが省政府の嘆きです。
土石流など要因
ただ今回の水害での死者のうち、9割以上は、豪雨による土石流、がけ崩れによるものでした。
温家宝首相は1日、湖南省長沙市寧郷県を視察しました。洪水、がけ崩れ、陥没が複合的に起きた地域です。
温首相は同県で会議を開き、がけ崩れや陥没など地質災害の防止に重点を置いた対策をとるよう指示しました。ただ同首相の指示は「がけ崩れが発生しやすい地域の調査」「がけ崩れの観測強化」などにとどまり、災害地点の問題点にまでは話が及びませんでした。
今後、個別事例の検討の上にたって、具体的にどのような防止対策や財政措置をとるのかが政府の新たな課題となってきます。


