2010年7月6日(火)「しんぶん赤旗」

主張

首相のごまかし

消費税増税では成長できない


 菅直人首相が、“消費税を増税しても使い道を間違えなければ景気が悪くならない”と、国民をけむに巻く発言を重ねています。たとえば介護に「1兆円規模」使えばそこで働く人の報酬も増え、消費が伸びるなどというわけです。

 菅首相独特の理屈ですが、消費税を財源とするのは決定的に間違っています。消費税は低所得者ほど負担が多い逆進性の高い税金でその増税が国民の暮らしを破壊するだけでなく、購買力を奪い消費を冷え込ませて経済そのものを破壊するのは明らかだからです。

手品のような理屈

 増税による財政再建と経済成長を両立させ、庶民増税で経済を成長させるなど、文字通り手品のような、事実をあべこべに描く暴論です。選挙戦のさなかに首相が「介護に1兆円」出すなどと大風呂敷を広げて、だから“消費税を増税しても景気が悪くならない”と強調するのは、それこそ増税への批判を回避するための宣伝です。

 消費税は所得の低い人ほど負担が重く社会保障の財源にするにはもっとも不向きな税金です。消費税を増税してその一部を社会保障に回すだけでは、とても増税による負担の穴埋めにはなりません。

 介護が深刻な状態にあるのはこれまでの政府が、消費税を国民に押し付けながら、社会保障の予算を削減してきたからです。それを元に戻さずさらに増税すれば予算を増やすといわれても、信用できるはずがありません。

 消費税の負担は、商品やサービスの価格に上乗せされ、最後は消費者が負担します。増税されればそれだけ国民の購買力が吸い上げられ、必ず消費が冷え込みます。GDP(国内総生産)で6割を占める消費が落ち込めば、経済全体が落ち込むことはだれがみてもわかることです。

 しかも菅首相がやろうとしている消費税の増税は、「強い経済」の目玉にしている大企業減税とセットです。消費税を10%に増税しても大企業の法人税率を15%引き下げれば、それだけでほとんど帳消しです。結局、増税分はほとんど国民に返らず、消費も経済も冷え込むだけの結果になるのは目に見えています。

 菅首相が持ち出した消費税の増税は、国民の猛反発を受けています。菅首相は、ギリシャのようになると脅したり、軽減策をとるとごまかしたりしていますが、“増税しても景気が悪くならない”という暴論もそのひとつです。消費税増税を押し通すためならなにを言ってもいいとばかりにウソとごまかしを重ねるのは、それ自体無責任であり厳しい審判が不可欠です。

経済も財政も立て直す

 日本共産党は大企業の減税を穴埋めするだけの消費税増税に反対し、福祉や暮らしの財源は、5兆円にのぼる軍事費などのムダの削減と大企業・大資産家への行きすぎた減税を改めること、さらに大企業のもうけやためこみを社会に還元させる内需振興策で確保するよう求めています。

 これなら税の不公平を是正し、所得を再分配することもでき、国民の暮らしを応援する経済発展を実現することにもなります。

 大企業のいいなりに減税し消費税を増税するのではなく、大企業に言うべきことを言い、経済も財政も立て直す展望を示す、日本共産党の前進がなにより必要です。





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