2010年7月5日(月)「しんぶん赤旗」

主張

雇用の安定

共産党勝利で派遣法抜本改正


 雇用の安定は、今回の参院選挙の重要な争点の一つです。

 人間をモノのように使い捨てる労働がまかり通っている現状を変え、「雇用は正社員が当たり前」の社会をつくるために、政治の役割がいまほど求められているときはありません。

抜け穴だらけの政府案

 何よりもまず最優先してやるべき課題は、労働者をモノ扱いする労働者派遣法の抜本改正です。先の通常国会に政府が提出していた改定案は継続審議になり、次の国会に先送りされています。問題は改定案の中身が「労働者保護」のためといいながら、財界の圧力に屈した「抜け穴」だらけのザル法だということです。

 大企業の身勝手な「派遣切り」を二度と繰り返さないために、犠牲がもっとも多かった製造業務派遣と登録型派遣について、政府案はいずれも「原則禁止」としているだけです。「例外」を設け、製造業務は派遣会社に常用雇用(常用型)されている労働者であれば対象外、登録型の場合は政令で定めている「専門業務」(現在26業務)派遣であれば対象外としています。要するに、派遣の形式を「常用型」と「専門業務」に変えれば何の支障もなく派遣が使えることになります。

 違法があった場合派遣先に直接雇用させる「みなし雇用」規定もありますが、期限の定めのない雇用になる保障はなく、むしろ違法を告発すると雇用が危うくなって労働者が損する結果になりかねません。こんな「抜け穴」だらけで、しかも実施時期が3年先、5年先です。

 「派遣切り」の犠牲にされ、いまなお生活に窮している労働者たちは、「政府案では私たちは救われない」と叫び、「抜け穴」をふさいで名実ともに労働者を保護する法律にするよう求めています。

 しかし菅直人首相は、「『抜け穴』なしの抜本改正案を次の国会に出し直すべきだ」という日本共産党の志位和夫委員長の提案(6月14日の衆院本会議代表質問)に、「提出し直す考えはない」と拒否しました。旧与党でこの法案に合意した社民党も、修正なしの成立を主張しています。

 現在、政党のなかで「抜け穴」をふさぐ抜本改正を主張しているのは日本共産党だけです。先の国会ではすでに、製造業務派遣は全面禁止、専門業務は縮小見直し、「みなし雇用」は期限の定めのない雇用にするなどの修正案を出しています。参院選挙で日本共産党の議席が増えることが労働者派遣法の抜本改正への展望を切り開くたしかな保障となります。

不安定雇用促進する財界

 「正社員が当たり前」の社会の実現は、働くものの立場で財界・大企業にモノがいえる政党が伸びてこそ可能です。経済同友会は6月に企業の国際競争力を維持・強化するために、不安定な有期雇用の拡大、解雇や賃下げの自由化を求める意見書をまとめました。雇用不安を是正する気などありません。菅首相が唱える大企業をもっと強くする政治では、財界の横暴を止めることはできません。

 日本共産党は、トヨタやキヤノンに「派遣切りやめよ」と道理をもって直談判した政党です。「使い捨て労働」の根絶、安心して働ける雇用のルールをつくる願いを託せる党は日本共産党です。





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