2010年6月28日(月)「しんぶん赤旗」

G8閉幕

核軍縮を呼びかけ

哨戒艦問題北朝鮮を非難 首脳宣言を採択


 【トロント=小林俊哉、田中一郎】カナダ・トロント郊外ムスコカで開かれていた主要8カ国首脳会議(G8サミット)は26日午前(日本時間27日未明)、首脳宣言を採択し、閉幕しました。同日夕(同27日朝)からは、トロントに場所を移して新興国を交えた20カ国・地域首脳会合(G20サミット)が始まりました。

 G8サミットの首脳宣言は、全核保有国に核軍縮に向けた努力を求めました。5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議が、2000年の同会議で合意した核保有国による核兵器廃絶の「明確な約束」を再確認し、核兵器国に対し核兵器廃絶への「具体的な前進」を求めたことに呼応したものです。

 首脳宣言は、NPT再検討会議の結論に「歓迎」を表明し、「核兵器のない世界」のための条件づくりに向け、G8諸国が「具体的な核軍縮努力を最後まで追求する」と表明しました。

 韓国の哨戒艦沈没事件では「合同調査団は北朝鮮に責任があると結論を出した。この文脈で攻撃を非難する」と表明。北朝鮮に対し、韓国に対する攻撃や敵対行為をとらないよう求めています。

 イランの核開発問題では、同国への追加制裁を求めた国連安保理決議の完全な履行を各国に要請。ただ、G8の目標は「イランの指導者に対し、その核活動についての透明性のある対話に取り組むよう説得することだ」とも強調しています。

 G8はこのほか、テロ対策に関する声明などを採択しました。しかし開発問題やアフリカ支援、気候変動対策などをめぐり、先進国の責任が問われているなか、具体的成果に乏しいものとなりました。

G8薄れる存在感

重み増すG20

 「今回が、北米で開催される最後のG8になるかもしれないとの指摘があるが」―カナダ・トロント郊外で開かれていた主要8カ国首脳会議(G8サミット)が閉幕した26日、議長国カナダのハーパー首相が会見で記者団に真っ先に問われた質問でした。

 来年のサミットは、新興国を加えてG8そのものを拡大しようと主張するサルコジ仏大統領が議長を務めます。そのため、再来年に米国で開催予定のサミットにはG8の枠組みそのものがなくなっているのではないかとの指摘があります。

 ハーパー氏は「G8は不可欠の機関だという点で、各国首脳とも強い見解を持っている」と強調しました。しかし、採択された文書には、さしたる成果はみられません。

 カナダが力を入れた途上国への50億ドルの「母子保健」支援策も、05年の英グレンイーグルズ・サミットで先進国が約束した500億ドルの途上国支援策が180億ドルも未達成であることから、色あせます。

 すでに経済問題では20カ国・地域首脳会合(G20サミット)が国際経済協力の「第一の会合」です。G8での経済議論を記者団に問われたハーパー氏は、「G8での話し合いは非公式のものだ」とぼそり。先進国の責任が問われる気候変動対策では「真の協議の場は国連だ」。安全保障分野でも、アフガニスタン戦争について問われると「現状は非常に厳しい」とのべるだけでした。G8の存在意義が目に見えて薄れています。

 25日のG8ワーキング・ディナーでは、国際社会の構造変化を受けて、G8のあり方そのものが議題にあげられました。各国首脳とも、中国、インド、ブラジルなど新興国の関与・参加を高めていくことが重要だとの点で一致。一方で、“価値観”を共有する国の集まりとしてのG8も引き続き有用だとの議論が大勢を占めました。(トロント=小林俊哉)





もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp