2010年6月27日(日)「しんぶん赤旗」

消費税10% 福祉のためというが

民主 社会保障拡充策なし

後期医療は「存続」 老齢加算を拒否


 菅直人首相は、消費税率10%への増税は「社会保障費の水準を維持する、より強くしていくため」(24日、大阪市での第一声)と、社会保障のためであるかのように語っています。しかし民主党政権には、社会保障を拡充する政策はどこにも見当たりません。むしろ弱体化させる姿勢です。

 公約だった後期高齢者医療制度の廃止は先送りです。民主党は「マニフェスト2010」で、当面「後期高齢者医療制度を存続させることとしました」と変節を認めました。その上、「廃止」後の「新制度」として、高齢者差別と負担増の仕組みを残し、その対象を75歳以上から65歳以上に広げる案を打ち出しました。

 世界でも異常な医療費の窓口3割負担を元に戻す仕事も放棄しました。民主党が野党時代には3割負担撤回を求めていたこともあげて負担引き下げを迫る日本共産党の志位和夫委員長に、菅首相は「応分の負担をお願いすることが必要」(14日、衆院本会議)と言い放ちました。(表)

 自公政権が廃止した生活保護の老齢加算の復活も、「復活させる状況にない」(16日の参院本会議)と冷たく拒みました。

 介護保険では、生活援助(料理や洗濯)を保険の給付から外すなど、自公政権が進めた給付費削減の制度改定論議をそのまま引き継いでいます。

窓口負担発言 うり二つ

 菅直人首相「医療保険制度を将来にわたり持続可能なものとするため…ある程度の窓口負担をお願いせざるをえない」(14日の衆院本会議)

 小泉純一郎首相(当時)「(窓口負担の引き上げは)医療保険制度の持続可能性を高める」(03年2月5日の参院本会議)


財界と米国にモノ言える共産党でこそ

社会保障の充実 実現

 「強い社会保障」を本当に実現するなら、自公政権がずたずたにした社会保障の傷跡を治すことこそ必要です。日本共産党は社会保障を抜本的に拡充する方向に転じようと訴えています。(別項)

 国民生活を支える社会保障のルールをつくることは、家計を温め内需を活性化し、経済成長にも役立ちます。

 消費税は、無収入の失業者、低年金のお年寄りなど、社会保障が必要な人に重い負担を負わせます。社会保障の財源に最もふさわしくありません。日本共産党は、社会保障を支える財源を消費税に求めません。

無駄の一掃4兆円

 日本共産党は、無駄遣いを一掃します。

 3370億円の米軍再編費撤廃などで5兆円の軍事費を1兆円削ります。1メートル1億円の東京外環道路中止など大型事業は中止・延期。320億円の政党助成金は廃止し、9000億円の税金をつぎ込みながら行き詰まっている高速増殖炉もんじゅなどにメスを入れます。使い道不明の積立金「経済危機対応・地域活性化予備費」1兆円を活用します。

 これらで当面4兆円を削ります。

 民主党は無駄を削るといって「事業仕分け」をしました。しかしアメリカや大企業の利益にかかわる支出に手をつけられず、1兆円に満たない額しか生み出せませんでした。日本共産党は、そこにこそメスを入れます。

大企業・大金持ち応分の負担を

当面3兆〜4兆円

 歳出とあわせて、日本共産党はゆきすぎた大企業・大金持ち減税を見直します。

 庶民のわずかな貯金の利子には20%の税金がかかるのに、大株主が億単位で得た配当の税率は10%です。日本共産党は、証券優遇税制を廃止し、株の利益や配当にかかる税金を20%に戻し、富裕層は30%にします。

 下げすぎた所得税の最高税率は50%に、相続税・贈与税は70%に戻します。

 大企業への優遇税制を見直し、下げすぎた法人税を段階的に元に戻します。これらにより3兆〜4兆円、景気がまともになれば、7兆〜8兆円の財源が見込めます。

 歳出・歳入の改革で当面年間7兆円、景気回復後は12兆円を見込みます。

 “大企業を強くすれば、暮らしに回り、経済も成長する”という経済政策が通用しないことは、この10年で明らかです。

 日本共産党は、「使い捨て」雇用を規制し最低賃金を引き上げ、中小企業いじめをなくす―などで家計を温め内需を活発にして経済を立て直します。

 こうした改革は、大企業とアメリカにモノが言える日本共産党にしかできません。

日本共産党の参院選公約

 (1)後期高齢者医療制度をすぐに廃止する。

 (2)高すぎる国保料を国の責任で減額する。

 (3)医療費の窓口負担引き下げをめざし、まず子どもと高齢者の医療を無料化する。

 (4)診療報酬と介護報酬を引き上げる。

 (5)介護保険への国庫負担を増やし、労働条件の改善、施設の整備、利用料・保険料の軽減を国の責任で行う。

 (6)障害者自立支援法の応益負担を撤回し、福祉・医療の無料化を進める。

 (7)生活保護を拡充し、老齢加算を復活させる。

 (8)最低保障年金制度を創設し、無年金・低年金問題を解決する。





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