2010年6月24日(木)「しんぶん赤旗」

増税勢力独占狙う比例削減

消費増税・新基地ノー 国民多数の声しめ出す


 「徹底した無駄の削減はこれからが本番だ」(菅直人首相)「政治家自ら身を切るべきだ」(渡辺喜美みんなの党代表)―日本共産党以外のほとんどすべての政党がこんな言い分で、国会議員の定数削減を参院選公約に掲げています。消費税増税反対や米軍普天間基地押し付け反対の民意を国会から締め出す危険な動きです。

標的は比例代表

 定数削減の標的にされているのは、民意を正確に反映する比例代表です。民主党は参院選マニフェスト(政権公約)で現在180の衆院比例定数を80削減し、参院定数も40程度削減する方針を明記。「できる限り早期に実現」(菅首相)すると宣言しています。

 民主党の衆院比例80削減が強行されたらどうなるか。2009年総選挙結果をあてはめると、民主党と自民党の「二大政党」を中心とした勢力で実に95%前後の国会議席を独占。比例で議席を得ている少数政党は国会から締め出されることになります。

 いま、民主、自民の間では消費税大増税と米軍普天間基地の押し付けの“大連立”の危険な動きが強まっています。

 5月に琉球新報と毎日新聞が合同で行った沖縄県民世論調査では、辺野古への新基地建設に「反対」が84%です。同月に朝日新聞が行った憲法に関する世論調査では、憲法9条を「変えない方がよい」が67%(「変える方がよい」24%)でした。消費税増税に関しては、賛否は拮抗(きっこう)。菅首相の増税発言の後、内閣支持率は下落に転じています。

 民主、自民で95%もの議席を独占するとなれば、これらの国民多数の声が国会から締め出され、暮らしや平和を破壊する政治が思うままに進められてしまいます。すでに民主党内からでさえ「参院選後には定数削減を強行し、強権的な政治が強まる」(同党議員)との声が出ています。

 みんなの党やたちあがれ日本などの新党もこぞって定数削減を主張するのは、「構造改革」路線の推進や消費税増税、憲法9条改悪などを政策の柱にし、「二大政党」への合流を目標にしているからです。みんなの党は「『政界再編』を究極の目標」にしています。

世界と比べると

 そもそも日本の国会議員数は、人口比で比較すれば世界でも最も少ない方にあります。人口10万人あたりの議員数は、人口1000万人以上の国で二院制を取っている41カ国中、下から9番目の33位。民主党が「モデル」とするイギリスでは、人口6102万人に対し下院定数は646議席です。

 「無駄の削減」「政治家自ら身を切る」というなら、年間320億円もの税金をつぎ込む政党助成金の廃止こそまず第一に取り組むべきです。

 議会(国会)の根本的役割は、主権者国民の民意の反映であり、選挙制度も民意の正確な反映を第一につくられるべきです。小選挙区制を廃止し、民意を正確に反映する比例代表中心の制度への改革を図ることが重要です。(中祖寅一)

グラフ
表




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