2010年6月22日(火)「しんぶん赤旗」

中部電が解決金3500万円

アスベスト被害 労働者遺族と和解


 中部電力火力発電所の元労働者が定年退職後に中皮腫で死亡したのは、同社がアスベスト(石綿)対策を怠ったのが原因だとして、遺族側が損害賠償を求めた裁判の控訴審は21日、名古屋高等裁判所で和解が成立しました。同社は安全対策が不十分だったと認めた上で、解決金計3500万円を遺族に支払うことになりました。

 訴えていたのは、同社の元電気技術者・藤原健二さん=当時67歳=の妻、重子さん=名古屋市緑区=ら遺族3人。

 和解内容は、会社側に対し、アスベスト等粉じん被害予防策として、発生防止・抑止、除去・遮断、防護および教育に関する措置を講じる、在職者および退職者全員に▽同被害の危険性を具体的に通知する▽「石綿健康管理手帳」の取得および労災申請の希望があった場合、誠意をもって協力する―などを約束させました。また、業務中のアスベスト被害で発症・死亡した在職者に適用される弔慰金制度を退職者にも適用するよう、会社側に検討を約束させています。

 和解成立後の記者会見で、重子さんは「主人が言い残した内容は和解内容にほとんど盛り込まれました」と語り、支援者にお礼を述べました。

 原告代理人の渥美玲子弁護士は「解決金が高水準であるだけでなく、在職者、退職者にとってプラスになるさまざまな約束をさせた点で、和解内容は高く評価できる」と述べました。

 同社OBで訴訟を支援者らは「アスベスト被害は数十年を経て発症するので、今後被害者が急増すると思われる。和解内容をすみやかに履行するよう会社側に求めていきたい」と語りました。

 2009年7月、名古屋地方裁判所は同社の安全配慮義務違反を認め、3000万円の支払いを命ずる判決を出していました。





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