2010年6月22日(火)「しんぶん赤旗」

外部事業所提供に

施設介護 社保審部会で議論


 2012年度の介護保険制度改定に向けて議論している厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会は21日、介護保険施設の医療・看護・介護を原則として外部の事業所から提供(「外付け」)する方向などを示した「地域包括ケア研究会報告書」の提出を受け、議論しました。

 同報告書は、25年までに実現すべき「地域包括ケア」の姿を提示。特養ホームなど介護保険施設の「ケア」と「住まい」の機能を分離し、「集合住宅」にして医療・看護・介護は原則「外付け」で提供するとしています。料理や洗濯など生活援助は介護保険の給付から外し、市町村が実施する地域支援事業の中で自治会やNPOなどが提供するとしています。

 「当面の改革の方向」としては、▽介護療養病床を廃止する▽要支援1・2または要介護1程度の軽度者については保険給付の対象外とする▽利用者負担割合(現在1割)を引き上げる▽ケアプランをつくるなどの居宅介護支援に利用者負担を導入する―などの意見を載せています。

 部会長の山崎泰彦神奈川県立保健福祉大学教授は同報告書を今後の議論の土台にすえる考えを示しました。


解説

自公政権の路線引き継ぐ

 地域包括ケア研究会は、介護給付費の削減を進めた旧自公政権が三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社に委託して立ち上げました。民主党政権に変わっても同じ座長(田中滋・慶応義塾大学大学院教授)のもとで検討を続け、3月に報告書を出しました。

 報告書は、住み慣れた地域や自宅で生活し続けられる訪問医療・看護・介護の整備を強調しますが、お金のかかる施設サービスの大後退を提言するものになっています。自助(自ら生活と健康を維持すること)と互助(ボランティア活動)を強調して公的保障を切り縮める「新しい公共」の考え方も色濃くにじませています。

 このような報告書を介護保険制度改定の議論の出発点で提示したことは、旧自公政権の「介護切り」路線を民主党政権がそのまま引き継ごうとしていることを示すものです。(杉本恒如)





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