2010年6月22日(火)「しんぶん赤旗」

菅首相あす沖縄訪問 「普天間」解決の道は

日米合意の白紙撤回こそ


 菅直人首相は23日、就任後初めて沖縄を訪問します。同日開かれる戦没者追悼式への出席が主目的ですが、米海兵隊普天間基地(沖縄県宜野湾市)の「移設」をめぐり、仲井真弘多知事との会談も報じられています。民主党は参院選政策で、「日米合意を踏まえて沖縄の負担軽減を図る」と公約。沖縄県名護市辺野古へ新基地建設をおしつける立場ですが、真に「沖縄の負担軽減」を図るなら、日米合意の白紙撤回と普天間基地の無条件撤去以外にありません。

国際法上も「違法な基地」

 普天間基地は、米政府も認める「世界一危険な基地」。他の米軍基地と比較しても違法性が強く、存在自体が許されない基地です。

 国際法違反 普天間基地は1945年4月、沖縄に上陸した米軍が民有地や公有地を囲い込んで本土決戦の拠点にしたのが始まりです。基地面積の92%を民有地が占めており、戦時下でも「私有財産ハ之(これ)ヲ没収スルコトヲ得ズ」(46条)としたハーグ陸戦法規に違反しています。

 米連邦航空法違反 同法では、滑走路両端の幅450〜690メートル、長さ900メートルの区域を、一切の構築物を禁じる「クリアゾーン」に指定。在外米航空基地にも適用しています。しかし、宜野湾市では「クリアゾーン」に住民3600人が生活しています。住民の上空を日常的にヘリが飛び、米側も「世界一危険な基地」といわざるを得ない状態です。

無条件撤去が県民世論最多

 沖縄県民がもっとも強く望むのは無条件撤去です。

 あらゆる世論調査で共通して、県民の7〜8割が辺野古への新基地建設に反対しています。最新の調査(「毎日」「琉球新報」5月31日付)によると、「辺野古」反対が84%に増えるとともに、その理由として「普天間基地の無条件撤去を望むから」が38%で最多でした。

「移設先」探し自体が破たん

 県民の多数がそう考えるのは、「移設先」探し自体が破たんしているからです。

 96年4月に日米両政府が普天間基地の「移設」条件つき「返還」で合意して以来、自民党政権下で2回、民主党政権下で三つ目の合意が交わされましたが、米側はあくまで自公政権時の合意=「辺野古沿岸部埋め立て・V字型滑走路」案を「最善」としています。しかし、米軍が配備を計画している垂直離着陸機MV22オスプレイによる被害がいっそう増すことが予想されます。同機を前提とした騒音予測もされていません。そもそも普天間基地の「移設」は、同基地の危険性除去が理由ですが、これでは“危険性”をそのまま名護市におしつけるだけです。

 日米合意では、「沖縄の負担軽減」を口実に、日本本土の自衛隊基地や鹿児島県徳之島への訓練移転を進め、米軍基地化を狙っています。基地被害が全国に拡大するだけです。

同盟の下でも基地撤去可能

 無条件撤去の最善の方法は、日米安保条約10条に基づいて日本政府が条約解消を通告することですが、米国と軍事同盟を結んだままでも、フィリピンやエクアドルなど、基地を撤去させた例はいくつもあります。現行安保条約下の日本でも、立川(東京都)や板付(福岡県)など、住民のたたかいで巨大基地を撤去させています。

 沖縄県では、名護市や沖縄県を含め全自治体が辺野古への新基地建設に反対しています。「望まれない場所に基地を置かない」のが、在外基地に関する米国の立場です。そうであるなら、無条件撤去が当然です。

新基地建設費 1兆円超えも

 辺野古への新基地建設費用は「最低3500億円」と説明されていますが、岩国基地(山口県)の滑走路移設の場合、総工費は見積額の1・6倍になりました。施設整備や汚染除去などを含めると、1兆円を超えることも予想されます。





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