2010年6月20日(日)「しんぶん赤旗」

世界の食料価格、15〜40%上昇も

国連機関など、10年間見通し


 国連食糧農業機関(FAO)と経済協力開発機構(OECD)はこのほど、農業生産を予測した報告書『農業アウトルック2010―19』を発表、今後10年間に世界の食料価格が40%上昇することもありうるとの見通しを明らかにしました。

 同報告は、小麦などの穀物価格は、今後の10年間に1997年〜06年の水準から15〜40%上昇すると予測。植物油と乳製品については40%以上の価格上昇を予測しています。

 食肉価格の上昇は、新興経済国での食生活の変化による食料需要の拡大にもかかわらず、ブラジル、中国などでの供給の拡大で比較的穏やかなものになるとみられています。

 しかし報告は世界の人口を養うのに十分な食料が生産されたとしても、最近の価格の上昇や経済危機の影響で飢餓や食料不安が高まることがあると警告しました。

 報告は、農業生産と生産効率の向上を訴えるとともに、効率的でルールに基づいた貿易体制で公正な競争力を促進し、食料の過剰な地域から不足している地域への輸送を可能にすることが必要だと強調しています。

 報告発表に当たって、ディウフFAO事務局長は「発展途上国の国際市場での役割は急速に増大しており、その衝撃的な成長を受け、グローバル化した市場の条件のなかで途上国の政治もより大きな意味を持ってきている」と指摘。「その結果、世界の政治でも途上国の役割は重要なものとなっている」と述べ、飢餓や栄養不良とのたたかいでの世界的な議論を呼びかけました。





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