2010年6月18日(金)「しんぶん赤旗」
絶滅危惧種のノグチゲラ
保護へ条例を制定
沖縄・東村
沖縄県の東村議会は17日、環境省がレッドデータリストで、ごく近い将来絶滅する危険性が極めて高い絶滅危惧(きぐ)種に指定している野鳥ノグチゲラを保護する条例制定案を全会一致で可決しました。
ノグチゲラは中型のキツツキ類で、世界で県北部の照葉樹林にのみ生息する国の特別天然記念物です。
ノグチゲラの生息する東村を含む県北部は、米軍演習場が存在し、ヘリパッド(ヘリコプターの離着陸帯)建設計画による環境破壊が懸念されています。それだけに、ノグチゲラの生息域全体での保護を義務づける条例制定は、県民世論に影響を及ぼすことは確実です。
同条例は、1条で文化財保護法、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律に基づく特別天然記念物であり国内野生希少動植物のノグチゲラの東村における保護に関して必要な事項を定めると明記。2条で適切な保護と生息域の保全・管理に努めなければならないとしています。
3条で保護地区の指定、5条で保護地区への無断での立ち入りや同周辺での騒音を出すなど生息を脅かす行為、その他生息に支障がある行為の禁止を規定。保護監視員の配置とともに、違反に対しては30万円以下の罰金を科すことができる、としています。
解説
生息域には米軍演習場
ノグチゲラ保護条例は、昨年5月に村立「山と水の生活博物館」付近のウラジロエノキで、営巣中のノグチゲラが確認され、その保護策として具体化されました。ヤンバルクイナに比べても生息個体数は少ないとされています。
ノグチゲラの保護をめぐっては、森林伐採やダム建設などの乱開発とともに広範な地域が米軍演習場に覆われ、さらにヘリパッド建設計画が生息域の保全問題として大きな影を落としています。防衛省はノグチゲラの繁殖期中(4月〜6月)の工事を中止していまが、7月には工事を再開させる構えです。
同ヘリパッド計画をめぐっては、隣接する大宜味村議会も10日に「ノグチゲラやヤンバルクイナなど動植物の宝庫で、基地建設は爆音と墜落の危険性がいま以上に高まる」として計画撤回を決議しています。(山本眞直)
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