2010年6月18日(金)「しんぶん赤旗」
「核兵器撤廃の好機」
独外相「欧州戦術核も論議を」
【ロンドン=小玉純一】ドイツのウェスターウェレ副首相兼外相は15日、ベルリンで開かれたフォーラム「グローバルゼロ・核兵器のない世界へ」で演説し、「最近数カ月に核軍備削減・撤廃、軍備管理の新たな弾みを得た」として「われわれの前に核兵器削減・撤廃で実質的な成果をあげるチャンスがある」と述べました。
外相は、新たな弾みとして、米国が核兵器の役割を低下させ、ロシアとの新たな戦略兵器条約で、戦略核削減に合意したことや、5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議の成功があったと指摘。特にNPT再検討会議では、「すべての核兵器を廃絶するための最終文書が合意され、グローバルゼロが189カ国の共通の目標となり、加盟国は具体的な行動計画に合意した」と強調しました。
またNPT再検討会議の最終文書で「すべてのタイプの核兵器」の削減・撤廃に言及したことから、戦術核についても削減・撤廃が求められているとして、「北大西洋条約機構(NATO)の戦略で核兵器の役割を論議することが今や必要だ」と述べました。
欧州地域ではロシアがより多くの戦術核を持っているとして、米ロの戦術核削減交渉を推進していく立場を示しました。
外相はさらに「核兵器が使われないことを保障する唯一の道は、すべての核兵器を廃絶することだ」と表明。「新たな核兵器開発を許さないために、核分裂物質の生産停止の合意も必要だ」と語りました。
グローバルゼロ 地球上からの核兵器の廃絶(グローバルゼロ)をめざす国際運動団体。カーター元米大統領やゴルバチョフ元ソ連大統領、カルドゾ元ブラジル大統領らのよびかけで2008年12月に結成されました。政治や経済、軍事、市民活動などさまざまな分野の著名人らが参加。10年1月には世界各地から政府関係者、経済人、宗教者などを集めた世界サミットを開催しました。30年までの核廃絶を提言しています。
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