2010年6月18日(金)「しんぶん赤旗」

各党のマニフェスト


財界応援 目白押し

早期の議員定数削減も表明

民主党

 民主党の参院選マニフェストは、「強い経済」「強い財政」「強い社会保障」を第一に掲げています。

 「強い経済」では「規制改革」「法人税率引き下げ」を明記。「法人税制は簡素化を前提に、国際競争力の維持・強化、対日投資促進の観点から見直しを実施」するとしています。

 また、アジアを中心とした諸国とのEPA(経済連携協定)、FTA(自由貿易協定)締結に積極的に取り組むとも宣言。そのうえ、「総理、閣僚のトップセールス」と称して「官民一体」のインフラ輸出まで掲げるなど、財界・大企業応援型の政策が目白押しです。

 「強い財政」では、「今すぐやること」として、消費税増税を主眼とする「税制の抜本改革」のための超党派協議を挙げています。

 また、「クリーンな民主党へ」を掲げながら、鳩山由紀夫前首相や小沢一郎前幹事長らの「政治とカネ」の疑惑についてはまったく触れないまま、「クリーンな政治」の第一に民意を切り捨てる国会議員の定数削減(参院40、衆院比例80)を掲げています。これについては菅氏が冒頭、メッセージで「できる限り早期に」行うと言明しています。

 一方、「強い社会保障」については項目さえ掲げず、「財源を確保して、持続可能な社会保障制度を構築」するなどとして、財源確保を社会保障の前提条件とする制約を設けました。雇用でも、財界の圧力に屈して大部分の派遣労働を温存する大穴だらけの労働者派遣法改定案の国会提出を「実現したこと」を「成果」として誇っています。

 鳩山前内閣の公約違反で首相が交代した沖縄・米軍普天間基地問題では、「日米合意に基づいて」と明記。沖縄県民の怒りの声を踏みにじる内容となっています。

派兵恒久法打ち出す

消費税「当面10%」を明記

自民党

 自民党は17日発表の参議院選挙公約の冒頭に、「新憲法の制定」を掲げ、改憲路線を鮮明にしました。海外での武力行使を可能にする集団的自衛権に「正面から取り組む」とともに、海外派兵恒久法制定も打ち出すなど、いっそう悪政を進める立場です。

 大企業応援のため、法人税率を20%台に減税すると明記。消費税は、「当面10%」まで引き上げるとしています。「超党派による円卓会議等を設置し、国民的な合意を図る」として、菅首相が呼びかける消費税の増税論議を行う検討会議に応えるような方向を打ち出しています。消費税増税で民主党と「大連立」もありうる危険な内容です。

 “うば捨て山”と大きな批判を浴びた後期高齢者医療制度の反省もなく、「高齢者医療制度の対象年齢を65歳以上」として、対象者の拡大も公約しています。

 道州制の推進も書き込まれ、「基本法を早期に制定する」としています。

 沖縄・米軍普天間基地問題では「普天間」との言葉は一切でてこず、「抑止力の維持を図る」として海兵隊の存在を正当化。「在日米軍再編を着実に進めます」として名護市辺野古への米軍新基地建設推進の姿勢を示しました。

 国会議員の3割削減も盛り込みました。衆参両議院の国会議員定数(722人)を3年後に650人、6年後に500人にするとしています。

増税大連立参加を表明

社会保障破壊の反省皆無

公明党

 公明党が17日発表した参院選重点政策は“うつ病、孤独死、貧困”対策などを内容とする「新しい福祉」を政策の柱としています。しかし、自公政権時代に社会保障費の自然増分を毎年2200億円削るなど、福祉を破壊し、国民の生活苦、介護苦を増大させ、自殺者が11年連続3万人超の事態を招いたことへの反省がまったくありません。

 自公政権時代の社会保障破壊がつくった「傷跡」である「後期高齢者医療制度」や「障害者自立支援法」の文言も「廃止」の主張もありません。

 財源問題では「社会保障にかかる給付と負担(財源)の議論は避けて通れない」と強調。そのうえで「消費税を含む税制の抜本的改革について、実行に移せる環境の整備」や「法人税率の引き下げ」を掲げ、民主、自民の消費税増税「大連立」に参加する意向を表明しています。

 沖縄の米軍普天間基地「移設」問題では、自公政権時代の新基地建設計画と民主党案がほぼ同じなのに「県民世論の意向を無視した頭越しの結論」と他人事。「日米安全保障条約を堅持し、日米関係を深化・発展」させるとし、「抑止力の維持」を基本にするとしています。

「移設条件付き返還」論

“使い捨て”派遣法案を自賛

社民党

 社民党は16日発表の参院選公約で鳩山政権での連立について「生活再建の前進、いのちを大切にする政治の実現に全力で取り組んできた」と評価。「使い捨て労働」を温存させる政府の労働者派遣法改定案の国会提出や後期高齢者医療制度廃止先送りなどを“実績”としてあげています。

 連立離脱の要因となった沖縄・米軍普天間基地問題では菅政権に対し「日米合意と閣議決定を見直すべきだ」と要求。「日米安保条約が必要であるなら、そのための基地の負担を沖縄一県のみにおしつけつづけることは許されない」として「県外・国外移設」を打ち出すなど、「移設条件付き返還」論に引き続き立っています。





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