2010年6月18日(金)「しんぶん赤旗」

菅政権の本音 もう見えた

米軍新基地・法人税引き下げ…


 菅直人内閣が発足してから10日あまり。国民の怒りの前に退陣した鳩山前内閣の公約裏切りへの反省はどこへやら。アメリカと財界の方に顔を向けた菅内閣の政治的本音が明らかになってきました。


国民に語る前に米国へ電話

党内からも「米べったり」の声

 菅首相が国民の前で所信を明らかにするより前に実行したのが、アメリカのオバマ大統領への電話。官邸入りしたその夜に、辺野古「移設」合意を「しっかりやる」と宣誓しました。ルース米駐日大使に対しても直接、同様の言明をしたことも明らかになっています。

 かつて菅氏は、新首相が真っ先にアメリカ大統領に電話を入れることを「現代の参勤交代ともいうべき慣行が続いている」(『GENDAI』02年9月号)などと批判していました。首相になった途端、自分の言葉を行動で裏切りました。

 自らの言葉を投げ捨てたのは、海兵隊撤退の主張も同じ。「海兵隊は即座に米国に戻ってもらっていい。民主党が政権を取れば、しっかりと米国に提示する」とまでいっていたのに、あっさりほごに。“政治家の発言が変わるのは当然”と開き直り、17日に発表した参院選マニフェストに「日米合意に基づき」全力をつくすと明記しました。

 沖縄の声よりアメリカ優先がはっきりしたのは、参院沖縄選挙区での候補者擁立。県連が推薦した候補を「内閣の方針と一致する方針でないと難しいのが原則」(枝野幸男幹事長、14日の記者会見)として擁立を取りやめたのです。

 菅内閣の姿勢に、民主党内からも「アメリカ側に寄ったというより、アメリカべったりの政権だ。日米合意を押し付けていけば、沖縄はあきらめると思っているのだろうが全く見当違い。ますます行き詰まる」(衆院議員)という声が出ています。

 沖縄選出議員の一人は「菅さんのもとで、政権も党の執行部サイドも、日米合意実行の体制になっている」と厳しい表情を見せます。

発足後真っ先に経団連訪問

「格差広げた張本人」と批判していたのに

 菅・民主党執行部が発足後真っ先に行ったのは、枝野幸男幹事長らの日本経団連訪問(8日)でした。民主党の申し入れで実現したこの会談は、政権交代後初めて。会談後、細野豪志幹事長代理は記者団に、「ひとつの大きな材料として成長戦略という経団連のみなさんとも方向性の合うものを携えていきます」と述べています(「産経」HD12日)。

 これに対して、民主党支持の連合加盟産別組合幹部は「枝野氏は、御手洗経団連会長を(国会に)参考人招致せよと言っていた。法律も守らず、格差を広げた張本人だといっていたのではなかったか」と批判します。

 同氏は「連合より経団連に先にあいさつに行ったのには驚いた。民主党を支援している組織より、自民党を支援している組織に先に行くとはいかがなものか」ともクレームをつけています。

 直嶋正行経済産業相は、法人税について「来年度に5%ぐらい引き下げたい」(9日)と発言。16日には米倉弘昌日本経団連会長らと会談し、「具体的に将来の方向性を示さなければいけない」と語り、引き下げを改めて強調しました。

 参院選マニフェストでは、「国際競争力の維持・強化」の名目で大企業への法人税率引き下げを“目玉”とする一方、「今すぐやること」として、「消費税を含む税制の抜本改革に関する協議を超党派で開始」し「早期に結論を得る」としています。

 これにはマスコミ関係者からも「民主党、日本経団連、財務省の三人四脚内閣だ」という声が出されます。

 一方で、労働者派遣法の抜本改正は、抜け穴だらけのまま国会での審議さえ投げ出し、継続審議となっています。「廃止」を掲げていた後期高齢者医療制度については、参院選マニフェストでは「廃止後の制度について…結論を得るまでの間は…存続」としました。

表




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