2010年6月14日(月)「しんぶん赤旗」

NHK「日曜討論」

小池政策委員長の発言

(詳報)


 日本共産党の小池晃政策委員長が13日放送のNHK「日曜討論」で各党政策担当者との討論で行った発言(詳報)は次のとおりです。


反省もケジメもない菅政権

 鳩山政権の退陣の「教訓」を問われた民主党の玄葉光一郎政調会長は、「歴史的な政権交代の原点に立ち返って再出発をしなければならない」と述べながら、「政治とカネ」や米軍・普天間基地問題などで公約や国民の期待を裏切ったことについては一言も触れませんでした。

 小池氏は、次のように述べました。

 小池 所信表明には、なぜ鳩山政権が退陣に追い込まれたのかということへの反省がなかった。暮らしの問題でも普天間の問題でも国民の声に耳を貸さなくなった政治に対する反省がないのですから、最初から間違いだと思います。

 (菅首相は)普天間の問題では辺野古「移設」の日米合意をあくまで実行するといいました。これでは、沖縄県民の思いを踏みつけにすることになります。「政治とカネ」の問題でも、辞任で「けじめをつけた」として“一件落着”にしようとしていますが、これでは「けじめ」にはなっていません。

 後期高齢者医療制度の「こ」の字も、労働者派遣法の「は」の字も所信表明にはありませんでした。いままでいってきた「国民の生活が第一」という言葉まで消えてしまった。結局、アメリカや財界の方を向いているんじゃないか。これでは国民が期待する新しい政治はつくれません。

 玄葉氏が、鳩山、小沢両氏の辞任は「最大のけじめだ」と発言。小池氏は次のように指摘しました。

 小池 「政治とカネ」の問題で、あれでけじめがついたなどというのは、とんでもない話です。小沢さんは、ただの一度も国会で話をされていない。幹事長を辞めたといっても、それは民主党内部の問題です。

 いままで疑惑をもたれた政治家は、少なくとも参考人や証人として国会に出てきて説明をしていた。ところが、(小沢氏は)一切これをやらずに、いまも背を向けているじゃないですか。

 与野党書記局長・幹事長会談で、(枝野幸男幹事長は)これ(証人喚問)はできないとはっきりいっている。これで「クリーン」だなんて聞いてあきれます。証人喚問に応じるべきです。

 これに対し玄葉氏は、「辞任以上のけじめはなかなかできない」「2人の問題は例外中の例外だ」と発言。小池氏は「例外というが、民主党のトップだったではないか」と批判しました。

消費税増税は大企業減税のため

 菅直人首相が「強い経済」「強い財政」「強い社会保障」を一体として目指すということに関連して、国民新党の森田高政調会長は「具体的な方法論はあまり示されなかった」と述べました。

 小池氏は次のように指摘しました。

 小池 「強い経済」「強い財政」「強い社会保障」について、具体案が出てきているものもある。「強い経済」のためには法人税の減税、大企業の減税をやろうというわけです。「強い財政」のためには消費税の増税をやろうという話になってきている。こんなことをすれば、ますます消費が冷え込んで、結局、日本経済が弱体化し、財政もさらに崩れていくことになると思います。

 日本の社会保障を強くするというのなら、弱くしたのは(毎年)2200億円の社会保障削減路線です。後期高齢者医療制度、障害者自立支援法をなぜすぐに撤廃せず、(廃止を)先送りするのか。

 菅首相は(環境対策などで需要と雇用をつくる)「第3の道」というが、実際にやろうとしているのは大企業を支援することであって、結局、(庶民への富の配分が)トリクルダウン(浸透効果)で回っていくという「第2の道」になってきている。これでは、逆に日本の財政も暮らしも大変になる。消費税の増税なんて、まさに逆行そのものです。

 一方、菅首相が所信表明で呼びかけた消費税増税を超党派で議論する「財政健全化検討会議」への参加について、各党からは、「税の抜本改革が行われなければならない」(玄葉氏)、「法人税は下げなければならない。消費税は上げていくということをきちんと議論すべきだ」(石破茂・自民党政調会長)などと賛同する“大合唱”が続きました。

 小池氏は次のように主張しました。

 小池 この検討会議は、所信表明で、自民党の「財政健全化責任法案」に触れて、その上で“一緒にやろう”といっているんです。自民党の法案は、消費税の引き上げをはっきり書いてある。つまり、超党派と称して国民不在で消費税増税をすすめるものです。そもそも消費税増税の議論は、4月に日本経団連が法人税減税と消費税増税を一体ですすめるよう提起し、6月には経済産業省が「産業構造ビジョン」で法人税減税を求めたのを受けて、閣僚からは、法人税減税の大合唱が起きているわけです。いまの財政事情で、法人税減税をやれば財源がなくなる。だから消費税(増税)だというんです。

 消費税が始まって22年で、消費税税収は累計で224兆円。同じ時期に法人3税は208兆円下がっています。結局、消費税というのは、大企業減税の穴埋めに使われてきた歴史の事実があるわけで、そういう道をさらにすすめるということは絶対反対です。

普天間基地撤去掲げ米交渉を

 自民党の石破氏は、普天間基地の辺野古「移設」という日米合意を結んだことについて、「結局こうなるのだということだ」と述べ、沖縄駐留米海兵隊の「必要性」を強調。民主党の玄葉氏も「抑止力は維持しなければならない」と述べました。

 小池氏は、次のように述べました。

 小池 岡田克也外務大臣は“自分は地元同意を得るという表現はこれまで使っていない”“沖縄の理解を得る努力が必要だといったんだ”といっている。しかも、“沖縄が受け入れないということは、現状が固定化されるのだ”と。これはどう喝ですよ。

 菅政権になって、まさにタガが外れて、日米合意を突っ走るという方向になってきている。これは本当に深刻な矛盾を広げると思います。

 琉球新報と毎日新聞の共同の県民世論調査では、普天間の辺野古「移設」反対が84%。一番多いのは「無条件撤去」を求める声です。次いで多いのが「国外移設」で、合わせて74%あるんです。この声に応えて、破たんした国内での「移設先」探しはやめて、無条件撤去という独立国として当たり前のことを堂々とアメリカにいうべきです。

 玄葉氏は、「国外、最低でも県外」という公約を裏切ったことへの反省もなく、「言葉は慎重に選ばないといけない。下手をすると沖縄全島が反基地闘争に入る」などと、県民世論を敵視する発言をしました。

 小池氏は、次のように批判しました。

 小池 普天間問題で、石破さんが“結局こうなるんだよ”とおっしゃった。消費税問題でも“選択の余地は狭い”と述べた。結局、1年たって、めぐりめぐって自民党政治に逆戻りということになって、ますますそれより悪くなる。結局そういう流れがはっきりしてきた。

 普天間基地問題について、(鳩山前首相が)「県外」「国外」といい、それで沖縄県民の世論がこれだけ盛り上がってきているのは当然です。それが、“反基地闘争だ、けしからん”というのは、どういう意識をもっているのか。とんでもない発言だと思います。

 こういう政治の逆戻りは、私たちは許さない。アメリカにも財界にもきちんとものをいう、そういう政治にしなければいけないと思います。





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