
2010年6月6日(日)「しんぶん赤旗」
生存権 声あげ続けよう
朝日訴訟50周年でシンポ
「語り継ごう朝日訴訟50周年 そしていま生存権裁判」と題したシンポジウムが5日、東京都内で開かれました。主催は、生存権裁判を支援する全国連絡会と「軍事費を削ってくらしと福祉・教育の充実を求める」国民大運動実行委員会です。
「人間裁判」といわれた朝日訴訟は、朝日茂さんが1957年、「健康で文化的な最低限度の生活」を求めて提訴したもの。60年10月19日、東京地裁で勝訴しました。
NPO法人朝日訴訟の会の岩間一雄理事長が記念講演。朝日さんは、個人の問題ではなく、国民生活のレベルを上げるものと同訴訟を位置づけ、弱いもの同士の足の引っ張り合いはやめようと主張していたことを紹介しました。
第一審判決を起案した元裁判官、小中信幸弁護士は「朝日訴訟がいまだに生存権の道しるべとなっているということは、今日においても生存権が確実に保障されていないということではないか」と強調。現在、生活保護の老齢加算の復活を求めてたたかわれている生存権裁判にふれ、「憲法25条の理念を、国、厚生労働省や裁判官にも十分自覚してもらい、適正な判断をしてもらいたい」と訴えました。
朝日訴訟の主任弁護士を務め、東京生存権裁判の弁護団長の新井章弁護士は「何もしないと国の予算は、軍事費などに重点を置かれかねない。人間らしい生活を求めて、繰り返し懲りずに声を上げ続けることで社会保障費を勝ち取らなければならない」と提起しました。
小中弁護士は、50年間大切に保管していた浅沼武裁判長らとともにつくった判決起案の原稿を、朝日訴訟の会に贈呈しました。朝日さんの訴訟継承者、朝日健二さんが司会を務めました。