2010年5月27日(木)「しんぶん赤旗」

都道府県 国保への独自支出激減

10年で4分の1に 住民・市町村にしわ寄せ

共産党調査


 市町村が運営する国民健康保険(市町村国保)への都道府県の「独自支出金」が10年間で約4分の1に落ち込んだことが、日本共産党の調べで26日までにわかりました。2000年度には321億8826万円あった独自支出金が、10年度当初予算では84億1826万円にまで減りました。
調査結果報告書

 独自支出金は、法律に定めがなく、都道府県が独自の条例や要綱などに基づいて市町村国保の特別会計に支出しているもの。国保料(税)の住民負担を抑えるなどの役割を果たしてきました。削減によって、市町村の負担が増すか、国保料値上げにつながっている恐れがあります。

 過去最高だった1996年度の540億6334万円と比べると、10年度の水準はわずか16%です。

 独自支出金ゼロの県は00年度には9県だったのに、10年度当初予算では34道府県に拡大しました。京都府は00年度に7億2千万円あった独自支出金を08年度にゼロにしました。

 調査では、国の「ペナルティー」から市町村国保を守る独自支出金の廃止が広がっている傾向も浮かびました。

 国は、子ども・高齢者・障害者・ひとり親家庭などの患者負担を軽減する福祉医療を行う自治体に対し、国保会計への国庫負担を削減するという理不尽な「ペナルティー」を科しています。従来、都道府県が実施する福祉医療によって市町村が「ペナルティー」を科される場合、一定割合を支援する都道府県が多くみられました。

 ところがこのような支援制度が大阪府や栃木、三重など多くの県で廃止・縮減されています。

 他方、山梨県は08年度から福祉医療を改善。窓口でいったん支払った患者負担分を後日「償還払い」する制度から、窓口支払いをゼロにする制度に変えました。住民の運動や日本共産党県議団の取り組みを反映したものです。これによって国から科される「ペナルティー」分を支援するため、市町村国保に対する独自支出金を大幅に増額しています。

グラフ




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