2010年5月26日(水)「しんぶん赤旗」

「エコ原発」虚構

火力より高コスト

太陽光発電比 CO2排出は2倍

立命館大学 大島教授の研究


 「コストも安くCO2排出も少ない」と政府が宣伝している原子力発電の発電単価が、火力や水力よりも高く、温室効果ガスも太陽光発電の約2倍のCO2を排出するなど経済面でも環境面でも大きな問題をかかえていることがわかりました。


グラフ

 立命館大学の大島堅一教授が最新の研究成果をまとめたもの。地球温暖化対策として原子力発電を推進しようとする電力業界などの試算の虚構性を明らかにして「原子力発電推進には国民的な議論が必要だ」と強調しました。

 原発を推進する電気事業連合会や経済産業省などは、発電量1キロワット時あたりの発電コストを原子力5・3円、石炭5・7円、石油10・7円(いずれも2004年時)と評価。CO2排出量については、発電量1キロワット時あたり原子力22〜25グラム、風力29グラム、太陽光53グラムと公表してきました。

 発電コストについて、大島教授は電力会社の有価証券報告書、政府の原子力発電への財政支出、原子力発電の立地から運転、使用済み核燃料の処理にかかった実際の費用(1970〜2007年度)の分析結果を紹介。「(発電量1キロワット時あたり)原子力が10・68円、火力9・9円、水力7・26円になる。原子力発電の夜間の発電電力を利用する揚水発電のコストを含めると原子力は12円になり、一番コストが高い電源となっている。発電単価でみても原子力は安価ではない」と強調しました。

 CO2排出量について、大島教授は経産省などの発表した数字を批判。「原発の発電コストが80%稼働率など現実性のないモデルで試算されている。CO2排出量の試算も古いデータや信頼性のないデータ、非公開データや計算法が不明なものが多かった」と指摘しました。

 また、CO2排出量について信頼できるデータと方法による世界の研究例を示し、原子力発電が同66グラム、太陽光発電は同29〜35グラムで、原子力が太陽光より2倍程度も多くなるという最新の結果を紹介。「排出量についてより透明性が高い包括的な研究が必要だ」と指摘しています。

 大島教授の研究成果は23日、大阪市内でひらかれたシンポジウム「原子力発電は地球温暖化対策として有効か?」(主催・地球環境と大気汚染を考える全国市民会議=CASA)で紹介されました。

 シンポジウムでは、早川光俊CASA専務理事が「原子力発電に依存しないで、自然エネルギー利用などの国内対策で2020年にCO225%削減が可能」というGDP成長モデル試算結果を報告しました。





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