2010年5月24日(月)「しんぶん赤旗」

首相再訪 沖縄 怒り沸騰

“マグマ爆発する”“二重三重のだまし”


 黄色の紙に赤字で「怒」「怒」「怒」のプラカードの波―。鳩山由紀夫首相が23日、再度沖縄県を訪問し、米軍普天間基地(同県宜野湾市)の「名護市辺野古付近への移設」を表明したことに県民の怒りが沸騰しています。那覇市の県庁前、名護市で抗議の輪が膨れ上がりました。


県民広場埋まる

県庁前

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(写真)鳩山首相との会談で普天間「移設」受け入れ拒否を表明したと報告する稲嶺名護市長(右端)を激励する市民ら=23日、名護市

 鳩山首相が仲井真弘多知事と会談する県庁の前の「県民広場」は、会談の前後を通じて、首相に抗議する県民らで埋まりました。

 広範な政党・団体・個人でつくる「基地の県内移設に反対する県民会議」の抗議集会で、幹事の日本共産党・前田政明県議は「県議会は“鳩山首相に会う必要はない”と抗議の座り込みを決めた」と報告。「最後まで力を合わせて、普天間基地の早期返還、県内移設をやめさせよう」と訴えました。

 名護市辺野古から駆けつけたヘリ基地反対協議会の安次富浩共同代表は「名護市民の怒りのマグマがいつ爆発するか」とあいさつ。首相が県庁に到着すると、沿道は「怒」の文字であふれ、「首相は公約守れ」の声が響きました。

 首相が県庁を出た後も抗議集会は続き各党県議団が決意表明。日本共産党の嘉陽宗儀団長は「党県議団の渡久地修議員は全国を巡り今、高知で普天間基地の実態を語り連帯を訴えています」と紹介。「抗議の黄色から今度はレッドカードへ。沖縄中をレッドにしよう」と呼びかけると会場は拍手で応えました。

 全日本民医連第20次辺野古支援連帯行動の一行も参加。青森市の女性(34)=介護福祉士=は「昨日は辺野古で座り込みました。辺野古の海は本当にきれい。この海を埋め立て基地にするなんてとんでもない」と語りました。

「非常事態だ」全会派座り込み

県議

写真

(写真)県議会棟前で抗議の座り込みをする県議会全会派の議員ら=23日、那覇市

 鳩山首相と仲井真知事が会談する県庁舎に隣接する県議会棟前では午前9時半、沖縄県議会(定数48)の全会派から36議員が抗議の座り込みを始めました。

 議会棟を背に、黄色地に黒で「県内移設を断念せよ」と大書した横断幕を広げ、黄色の帽子やシャツ姿、「怒」の文字のプラカードを手にした県議が並びます。出張などの所用を除く全県議が参加。座り込みは県議会では初めてです。

 「本来なら言論の府としてやってはいけない座り込みで、県民の思い、議会の決意を伝える、こういう手段しか残っていなかった。残念でなりません」と高嶺善伸議長が顔をゆがめます。

 「昨年の政権交代で、沖縄の苦渋を解決してくれると期待し見守ってきました。それが“検討した結果、また辺野古です”とは」

 沖縄県民の総意は、9万人が参加した4・25県民大会の決議と県議会の全会一致による意見書に示されている、と高嶺議長はいいます。「『県内移設』で地元の合意も説得もありえない。もう非常事態です」

 県議らは「県議会意見書の実現をめざし、県民と心一つに最後まで頑張ろう」と唱和を繰り返しました。

沿道から一斉に抗議

名護

 鳩山首相と稲嶺進名護市長ら北部市町村長との会談会場、同市「万国津梁館」周辺は、抗議の唱和に包まれました。

 首相を乗せた専用車が正午すぎ、会場前の交差点を通過すると、沿道からいっせいに「県内移設は認めないぞ」「普天間基地を撤去せよ」などの抗議と怒りの唱和が響きました。

 市内喜瀬の交差点で抗議行動に参加した男性=同市宮里=は「最低でも『県外』の公約を投げ捨て辺野古に新基地を押し付ける鳩山政権への怒りは抑えようがない」と一喝。アメリカでのジュゴン裁判の原告の一人として、「絶滅危惧種のジュゴンが生息するこの海を埋め立てることは国際的にも批判があり、米国の海洋哺乳(ほにゅう)類委員会は日本の環境影響評価(アセス)を注視している。政府があきらめるまでたたかう」と力をこめました。

 「鳩ではないサギだ」との手製プラカードをかかげた女性(60)は「政権交代で沖縄の屈辱の歴史が変わると信じて民主党を応援したのに、それを裏切るように新基地を押し付ける鳩山首相の言動は人間のすることではない。二重三重の県民だましだ」と怒りをあらわにします。

 「県内移設絶対反対」の手製あんどんを肩にかついで首相を“出迎え”た男性(74)は国頭村の無所属村議。「県内たらいまわしは、戦後65年、県民犠牲への許しがたい仕打ちで許せない」

 首相との会談後、交差点前で市民に「私はきっぱりと受け入れ拒否を表明した」と報告した稲嶺市長。沖縄市からかけつけた女性(58)は「稲嶺市長は県民として力強い。米軍基地は沖縄から一日も早く無くしたい」と共感の拍手を送りました。





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