2010年5月23日(日)「しんぶん赤旗」

主張

小沢幹事長不起訴

国会での追及は待ったなしだ


 自らの資金管理団体「陸山会」の土地購入資金事件で検察審査会から「起訴相当」の議決を受け、東京地検特捜部で3回目の取り調べを受けた小沢一郎民主党幹事長に、再度「嫌疑不十分」で「不起訴」の処分が出されました。検察審査会があらためて審査し再び「起訴相当」が議決されれば小沢氏は強制起訴されることになりますが、その結論は参院選に重なる可能性も濃厚です。公示が1カ月後に迫った参院選での国民の審判のためにも、国会での追及がいよいよ待ったなしの課題です。

証人としての喚問を

 小沢氏は国会の政治倫理審査会で弁明する意向を示していますが、審査会は本来、マスメディアにも公開されない“密室”です。小沢氏への追及は予算委員会の集中審議で参考人としての答弁はもちろん、うその証言に対しては偽証罪で告発できる証人としてもおこなうべきです。

 小沢氏がかかわった土地購入資金事件は、小沢氏の元秘書3人が政治資金規正法違反で起訴され公判中の重大事件です。小沢氏が提供した資金で「陸山会」が土地を購入したのに、銀行からの借り入れを装い、政治資金収支報告書にうその届け出をしていました。政治活動にかかわる資金で土地を購入、資産を形成していたとみられること自体、重大問題です。

 小沢氏はこの事件で、元秘書らと「共同正犯」の疑いがもたれましたが嫌疑を裏付ける証拠や証言が十分集まらず、「嫌疑不十分」で「不起訴」となりました。決して「不起訴」で小沢氏の潔白が証明されたわけではありません。

 検察審査会は秘書との共謀を否定した小沢氏の説明を、「不合理・不自然」と断じ、「起訴相当」と認めました。これを受け再捜査しながら再び「不起訴」と決めた東京地検特捜部には、本当に捜査をつくしたのかとの疑問に答える責任があります。検察審査会がうそをついていると批判した小沢氏への追及を、国会が政治倫理審査会ぐらいでとどめることは許されません。うその証言には偽証の罪に問うこともできる、証人としての喚問が不可欠です。

 疑惑の核心は、もともとの購入資金がどこから出ていたかです。小沢氏は政治献金だとか、家族名義の預金を解約し現金で保管していたとか説明をくるくる変えましたが、解明はつくされていません。しかも、この事件や別の虚偽献金事件で、小沢氏の事務所が東北地方の公共事業談合の「天の声」に関与し、建設会社から裏献金を受け取っていたことも明らかになりました。文字通り“税金の還流”であり、資金の出所は徹底的に究明されるべきです。この点でも小沢氏への追及は欠かせません。

責任追及は国会の責務

 政治家一人ひとりが自らの疑惑に応える責任を負っているだけでなく、国会は議員にかかわる疑惑の真相を調査し、政治的道義的責任を明らかにする責任があります。国会での追及と、警察や検察など司法の追及は“車の両輪”であり、たとえ司法の追及が及ばない場合でも、国会の追及をあいまいにすることは許されません。

 「起訴相当」を議決した検察審査会は、小沢氏の態度を「市民目線からは許し難い」と断じました。いまこそ国会が、こうした「市民目線」に立つよう求められます。





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