2010年5月22日(土)「しんぶん赤旗」
「あかつき」打ち上げ成功
金星版の“気象衛星”
謎の暴風・火山追う
あかつきは、謎の多い金星の気象現象の徹底解明をめざす金星版の“気象衛星”です。
金星と地球は、約46億年前に誕生した当時はよく似た“双子の惑星”でした。しかし現在、金星は大気の量が地球の100倍あり、その96%が温室効果ガスの二酸化炭素。そのため地表は、90気圧、460度の灼熱(しゃくねつ)地獄です。空一面が硫酸の雲で覆われ、海はありません。なぜ、金星と地球が異なる運命をたどったのかを探ります。
最大の謎は「超回転」(スーパーローテーション)と呼ばれる大気の高速回転現象です。金星の自転速度(赤道上)は人が歩く程度。自転が遅い惑星で吹く風は遅いと考えるのが従来の常識でした。ところが金星のほぼ全球で、上空の大気が新幹線よりも速い速度で、地面を追い越すように回転しています。
あかつきは搭載するカメラ5台で、地表面から高度90キロメートルまでのそれぞれ異なる高度の対象を同時観測し、大気の動きを立体的にとらえ、謎に迫ります。
このほか、研究者の間で長年論争になっている雷や火山活動の有無に決着をつけます。(中村秀生)
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