
2010年5月21日(金)「しんぶん赤旗」
2010参院選特集
希望ある農へ
日本共産党の農業政策
21世紀の食料不安のなか、日本農業を再生し、いま41%の食料自給率を早期に50%まで回復するためには、農家が安心して生産に励める政策に切り替えることがどうしても必要です。日本共産党は、2年前に発表した「農業再生プラン」を土台に、新しい農業政策を発表しました。民主党中心の鳩山内閣農政の抜本的転換へ「四つの提案」をしています。
価格保障+所得保障
日本共産党は、全国平均の米生産費1万6500円(1俵60キロあたり)を基準に、その年の販売価格との差額を農家に補てんする「不足払い」の価格保障制度を導入します。あわせて、水田のもつ洪水防止や水質浄化など国土・環境機能を評価して10アール1万〜2万円の所得補償を実施します。地方の条件を踏まえておこないますが、1俵平均で1万8000円前後が保障されます(グラフ(1))。また、条件不利地域で実施されている「中山間地域直接支払い」の所得補償は、恒久化し充実します。こうした価格保障を中心にすえつつ、所得補償を上乗せして組み合わせる仕組みは、欧米諸国で手厚く実施している合理的なやり方です。
暴落している2009年産の米価を回復することは最優先の課題です。市場にだぶついている30万トン以上を適正な価格で緊急に買い入れるとともに、大手流通企業による買いたたきを規制します。
削減された水田転作助成金を増額し、自主的に選択できるようにします。全国一律でなく地域の実態をふまえて配分します。
畑作、畜産、果樹、野菜にもそれぞれ価格保障(価格安定・支持制度)を導入します。
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民主の所得補償は輸入自由化が前提
輸入自由化を迫るアメリカいいなり、輸出大企業の利益を最優先して農村を衰退に追い込んだ自民・公明政治に代わって政権についた民主党中心の鳩山内閣は、目玉として戸別所得補償を位置づけています。
ところが補償水準は米で60キロ1万3703円という低いもの。農水省が公表している米の生産費1万6497円よりも低く、これでは農家の困難を改善することはできません。米価が下がれば補償も下がり、「農家は一生貧乏な生活をせよというのか。後継者ができない」との声があがっています。補償額は全国一律のため、生産費の高い地方はとくに大変です。
しかも、この所得補償は、輸入自由化推進と一体になっており、農家の不安はつのるばかりです。
輸入自由化拡大に反対
日本共産党は、輸入自由化に歯止めをかけることなしに、日本農業を再生することはできないと考えています。この立場から日豪EPA(経済連携協定)はただちに中止すること、日米FTA(自由貿易協定)はきっぱり断念すべきだと主張しています。世界貿易機関(WTO)農業協定は根本から見直し、食料政策を決める権利「食料主権」を保障する貿易ルールをめざします。
WTOのミニマムアクセス米「義務」的輸入は中止します。
鳩山内閣は、日本農業に壊滅的打撃を与える日豪EPAや日米FTA、さらにWTO農業交渉などに「前向き」「積極的」です。米・豪を含め「アジア太平洋FTA」構築を内閣の目玉に掲げるなど一貫して自由化を推進しています。
担い手の確保・育成へ
日本共産党は、農家の高齢化がすすむなか、農業の担い手の確保・育成に特別な力をそそぎます。大小の多様な家族経営をできるだけ多く維持するとともに、集落営農や大規模農家の役割を重視し支援を強めます。
新規就農者支援の特別法を制定し、農業参入や定着に国、自治体、関係機関あげて取り組みます。
予算規模を1兆円増額
日本共産党は、農家が安心して農業生産に取り組める価格保障・所得補償を実施し、食料自給率50%をめざして増産するために約1兆円の追加予算が必要だと主張しています。現在の予算規模を前提にしても、農林水産予算の割合を10年前の水準にもどすだけで1兆円は確保できます。(グラフ(2))
鳩山政権は、自民党・公明党政権で4・9%まで下がった一般歳出にしめる農林水産予算を、さらに4・6%に下げてしまいました。
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