2010年5月13日(木)「しんぶん赤旗」

トラブル続発 もんじゅ

“見切り発車”批判相次ぐ

運転再開1週間


 日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が6日に運転再開を強行して、12日で1週間がたちました。この間、運転員がもんじゅの安全に欠かせない操作のしかたについて教育も訓練も受けないまま運転していたなど、重大な事態が次々明るみにでました。原子力機構は「問題はない」として運転を続けていますが、“見切り発車”だったのではないか―。住民や専門家からは原子力機構の姿勢に批判の声があがっています。


 10日夜、燃料の核分裂を制御する制御棒が入りきらず、約1時間50分にわたって作業が中断しました。運転員が、スイッチの操作を知らず、途中で止まったのを異常と判断したためとわかりましたが、そもそも、最後まで挿入するための操作のしかたが手順書に書かれておらず、運転員はその方法について教育も訓練も受けていなかったことが判明しました。

 制御棒は、もんじゅの“ブレーキ”です。ブレーキの操作を知らないまま、自動車を運転するのに似たことが行われていたのです。

 異常を知らせる警報も連日鳴り響いています。最初の警報が鳴ったのは、運転再開初日の6日深夜でした。燃料の破損を検出するため、原子炉内のガスに含まれる放射能を測定する装置3台(A、B、C)のうちAが高い値を示していました。

 原子力機構は、ほかの2台や、別の方式で検出する装置は健全だとして誤作動と判断。その時点では、いったん誤作動は収まりましたが、7日午前10時ごろから続けて5回同じ現象が起こったため、Aを停止しました。

 さらに、9日にはCも誤作動を起こし、動いているのは3台のうちの1台という状況となっています。

 このほかにも、ナトリウムが循環する配管の温度が高くなったことを示す警報や、ナトリウムタンク内のアルゴンガスの温度が低くなったことを示す警報が鳴っています。

 原子力機構はこれまで警報についてすべて公表してきましたが、「重大な警報との区別が付きにくくなる」として、11日、今後は故障などの場合に限ることを明らかにしました。

 原発問題住民運動全国連絡センターの代表委員で敦賀市在住の山本雅彦さんは、「原子力機構は、施設は健全で、地震にも大丈夫、訓練も繰り返してきたとして運転を再開したが、結局、見切り発車だったことが明らかになった。ただちに運転を停止するべきだ」と話しています。





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