2010年5月13日(木)「しんぶん赤旗」

森林再生へ共同

北海道旭川 シンポでの発言から


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 日本共産党北海道委員会は8日、旭川市で「森林・林業の再生と地域づくりを考えるシンポジウム」を開きました。各地の森林組合員や造林業者、行政関係者らが参加。用意していた資料が足らなくなるほどで、党派をこえて「森林の再生をどうはかるか」の模索、共同が広がりました。

 今まで日本共産党と関係がなかった各界の代表がパネリストを引き受け、はたやま和也参院選挙区予定候補が司会を務めました。会場からも、「山をたくさん持っていても銭にならない」(旭川森林組合)などの発言が相次ぎました。パネリスト5氏の発言(要旨)と、寄せられた感想の一部を紹介します。


環境と資源を守ろう

全国森林組合 連合会会長 林 正博さん

 「共産党とは世界が違う」と思っていましたが、全国大会で志位(和夫)委員長から素晴らしいあいさつをいただき感激しました。

 北海道は、炭鉱の坑道で使うために、粘りがあって強いカラマツが植えられました。木が育つと、炭鉱はなくなっていました。

 ところが今、強度が出ると木材としてのカラマツの評価が上がってきました。時代によっていろいろなことが出てきます。どこの家でも見られた熱帯林のラワン材は、切りつくされてしまいました。

 木材は限りある資源です。切った後に植えて、環境と資源を守らなければなりません。

 山が荒れると、水産資源にも影響を及ぼします。さまざまな立場の人と林業を考えていくことが大切です。

産業として「潜在力」

参院議員紙 智子さん

 森林・林業は、木材資源の供給とともに、国土や環境の保全、水資源の涵養(かんよう)など、国民生活にとって欠かせず、低炭素社会を実現する上でも重要です。

 林業は産業として素晴らしい潜在力を持ち、地域経済と社会を支える柱になります。

 日本では林産物が輸入自由化され、8割が外材です。国内の森林・林業を再生し、外材依存政策を転換しなければなりません。林道や作業路などの生産基盤の整備が重要です。

 国産材の需要拡大のために、公共建築物や土木事業で数値目標を持ち、学校校舎やガードレールなどでの木造利用や、再造林価格の保障が必要です。

 大規模流通だけでなく、地域づくりとあわせた林業就業者の育成が大事です。

町有林化して整備へ

上川町長 佐藤芳治さん

 わが町は「林業の町」から「森林の町へ」というコンセプトを持って、中長期的な林業・森林再生プランを策定しました。今年度即実施したいと考えています。

 現状をみますと、造林が行われない、間伐が行われていない森林が増えてきています。森林所有者に働きかけてもなかなか難しいということもあります。

 これを解決する方法として、放棄されつつある私有林を町が買い取り、町有林化して整備をはかっていくことを追求していきたい。

 また、森林の担い手の確保の問題です。森林整備にかかわる事業者としては森林組合が最たるものですから、そこをどう育てていくか、守っていくかが重要なテーマと思っています。

日々の生活の潤いに

旭川家具工業 協同組合理事長 桑原義彦さん

 「旭川家具」は、大雪山の森の恵みの上に育ってきました。

 旭川では、あえて海外の安い加工品を使うのではなく、地元資材、国産品にこだわっています。

 森林・自然を守るというのは、山だけあればいいのではなく、人間との共存・共栄――木材をいただき、加工し、日々の生活の潤いに寄与されなければならないと思います。

 「100年育った木を使うなら、100年持つ家具を作ろう」という気持ちで、コストだけでなく、デザインを工夫して付加価値のある製品づくり、最後の最後まで木材を使ってあげられるような業界をめざしています。

 組合は毎年、(大雪山の広葉樹を復活させるために)ミズナラを2000本植樹しています。使いながら、育てていきたい。

地域の経済循環大切

東京農業大学教授 黒瀧秀久さん

 日本の林業は、外国から輸入された安い木材に押されていましたが、輸送費の増加、北洋材関税の引き上げ、中国の木材需要高騰などで変化が起き、国産材の比率が高まってきています。

 この機会に、国内材の地域資源的価値循環を取り戻すことが必要です。国内、地域の経済循環を大切にすることが重要になっています。

 網走東部・西部流域森林・林業活性化協議会は、森の資源を循環させる、「地域材循環アクションプログラム」を策定しました。

 紋別市では、環境にやさしい地域材を都市の住宅需要に生かそうとしています。山の資源を地域で使って、都市でサポートして、地域林業の活性化に役立てようとしているのです。


共産党に敬意 若い人の力を 参加者の感想から

 「森林の保守管理は、普遍的課題である。このシンポを開催した共産党には敬意を表する。政治を超えた国土と環境に関する問題だ。行政と税制を含めた国策としての位置づけと議論が必要です」(旭川市の男性)

 「3市町に山を所有している者ですが、税金の免除や個人所有者に対して、支援交付金を補てんしていただければ、山持ちの後継者も育ってくると思います。今回のようなシンポジウムを開催していただくと、山つくりの励みになります」(旭川市の男性)

 「林業、農業の再生には、若い人たちの力が欠かせない。展望の見える森林、農業を一緒に守っていきましょう」(旭川市の男性)

 「人工造林地が人手不足、資金不足で荒れ山になっています。国有林の人減らし合理化が作り出してきたように思います。国有林の使命は大です」(遠軽町の男性)

 「パネリストの皆さんすべてから、本当に深い知恵と実態を示していただきました。やるべきことは50年、100年の未来へむけて、大きな仕事ですね」(「後期高齢者」より)

 「佐藤町長の、せめて公有林は地元自治体が音頭をとって一体管理すべき、との考え方に同感です。国有林、道有林の大部分が保有林化されて、人手をかけないことが合理化されている点で、ぜひ自治体が中心となって森林組合とともに一体管理させてほしい」(美幌町の男性)





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