2010年5月13日(木)「しんぶん赤旗」

「移設先」 辺野古明記へ

普天間基地 政府方針、自公路線に回帰


 政府は12日までに、米海兵隊普天間基地(沖縄県宜野湾市)の「移設」に関する政府案に、キャンプ・シュワブがある同県名護市辺野古周辺を「移設先」として明記する方針を固めました。


 鳩山民主党政権は政権発足以来、普天間「移設」先で迷走に迷走を重ね、「四十数カ所を検討した」(鳩山由紀夫首相)結果、1996年のSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意以来、辺野古に新基地を押しつけようとしてきた旧自公政権と同じ立場に逆戻りしました。

 工法としては「くい打ち桟橋方式」を想定。ワシントンで同日(日本時間13日)に開かれる日米実務者協議でこうした構想を示し、日米間で詰める予定です。これに対して米側はあくまで現行案(辺野古沿岸部の埋め立て)を最善とする立場を崩していませんが、これらは技術的な相違にすぎません。

 また、政府は辺野古への新基地建設とセットで普天間基地の機能の一部(ヘリ部隊の訓練)を鹿児島県の徳之島や全国の自衛隊基地に分散移転する方針ですが、米海兵隊は沖縄の地上部隊とヘリ部隊の一体性を求めており、この“一体性”を保持されない形での「移設」案は拒否するものとみられます。

 首相は昨年の総選挙で、普天間基地の「移設」先について「最低でも県外」と公言していましたが、「海兵隊は抑止力」という呪縛(じゅばく)から抜け出せませんでした。

 このため、1997年の市民投票、今年1月の名護市長選と2度にわたって「辺野古に基地はいらない」との審判を下した住民の声ではなく、「抑止力維持」の立場から、海兵隊の軍事的な要求を最優先するという地点まで後退しました。


民意無視は民主主義冒瀆

 辺野古で座り込みを続けるヘリ基地反対協議会の安次富(あしとみ)浩代表委員の話 私たちは怒っています。「公約破り」である辺野古への「移設」押し付けを方針化し、強行しようとする鳩山政権の手法は、沖縄の民意を反映していません。私たちの怒りは簡単に冷めません。今回の小手先の提案も運動やたたかいでつぶせると思っています。

 鳩山政権は、4月25日の9万人余の沖縄県民大会で示された、普天間基地の早期閉鎖・返還、県内「移設」反対の大きな民意をアメリカにぶつけて交渉すべきです。

 民意を無視することは民主主義の冒瀆(ぼうとく)です。そのことを鳩山政権は理解すべきです。きれいな辺野古の海に数千ともいわれるくいを打つ政府案は環境破壊です。

 鳩山政権に失望していますが、絶望はしていません。私たちは、これからもくじけずに自信を持って運動を続けていきます。





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